近時、中国において、シャドーバンキングが行き詰まりをみせ、資金の借り手などにおいて返済不能(デフォルト)となる事態も発生しはじめ、連鎖的な金融・経済危機の発生が懸念されている。リーマンショックの再来を世界はおそれている。

不良債権の実態は闇の中

 シャドーバンキングそのものは、珍しいことではなく、世界のどこの国でも見られる現象で、規制の隙間で出てくる。中国は共産党一党独裁の社会主義国なので、業者規制はお手の物と考えるのが自然だ。だから、自由な経済活動を前提として、規制が難しい資本主義国より、シャドーバンキングへの対応が簡単だろうと思いがちである。しかし、中国独特の政治環境を考えると、これがなかなか大変なのだ。

 人口13億人の中国を中央集権で統制することはできないので、地方政府は建前は別としても事実上かなりの自由度を持っている。それを建前としての一党独裁の中央集権体制で覆っている。金融では、金利規制の厳しい国営銀行の間隙を縫い、規制の緩いシャドーバンキングが発展している。

 中国のシャドーバンキングは2種類ある。銀行がある企業に資金を貸し付け、銀行は資金需要者にその企業を紹介し、資金需要者はその企業から高い金利で資金を直接借り入れる「委託融資」と、貸出債権を小口化した「理財商品」だ。

 どちらも、資金需要者には地方政府が傘下に抱える投資会社「融資平台」が多い。融資平台は、調達した資金を地方政府の指示に沿って道路建設やダム工事などのインフラ開発に使っている。そこに、地方の「隠れ借金」があり、それが不良債権化しているようだ。ところが、その統計はほとんどわからず、不良債権の実態は闇の中だ。