16日に発表された中国の第1四半期の実質GDP成長率は7.4%と、前期に比べ減速したものの、政府目標の7.5%とほぼ同じで、市場では安堵の声も広がっている。だが、その内実を見ると主要経済指標は軒並み減速している。加えて、過剰債務問題も政府の自信とは裏腹に制御可能かどうか不透明感が漂う。内需にも陰りが見えるため、依然として頼みの綱は「輸出」という状況が続く。

「無理」をして成長率維持を選択

さいとう・なおと
1990年立教大学文学部卒業。山一証券経済研究所勤務。1994年~1997年香港駐在。1998年大和総研入社。2003年~2010年北京駐在を経て、2010年6月より現職。担当は中国経済、中国株式市場制度。近著に「最新中国金融・資本市場」(金融財政事情研究会、2013年)、「習近平時代の中国人民元がわかる本」(近代セールス社、2013年)、「中国資本市場の現状と課題」(資本市場研究会、2013年、いずれも共著)。

 2014年3月に開催された第12期全国人民代表大会(全人代=日本の国会に相当)第2回会議では、李克強氏が首相に就任して初めての政府活動報告を行った。

 注目された2014年の政府経済目標は、実質GDP成長率が7.5%前後、消費者物価上昇率は3.5%前後(に抑制)、都市就業者新規増加数は1000万人以上、都市登録失業率は4.6%以内、M2(マネーサプライ)増加率は13%前後と設定された。都市就業者新規増加数を除き、2013年の目標がそのまま踏襲されている。都市就業者新規増加数の目標が2013年の900万人から引き上げられたのは、都市化進展による都市での雇用増加、さらには雇用吸収力の大きいサービス業の発展促進などが想定されているのだろう。

 実質GDP成長率の7.5%目標は2012年から3年連続であり、潜在成長率の低下が指摘されるなか、マーケットは目標が引き下げられなかったことに安堵しているかもしれない。

 しかし、この7.5%目標がリスク要因になりかねない点に注意が必要である。そもそも2013年11月の三中全会では政績(政治的な成績)表評価項目の重点として、過剰生産能力の抑制と新規債務の増加抑制が新たに加えられ、2013年12月の中央経済工作会議では、2014年の経済運営の重点のひとつに、債務リスクをコントロールすることが掲げられていた。これらはともに、無駄な投資と借金を増やさず、潜在的な不良債権を増やさないこと、さらには既に限界に達している、投資に過度に依存した発展パターンから決別し、消費主導の持続的安定成長へ舵を切ることを意味していた。