空前の資源高などを背景に、史上最高益に沸いていた2年前から一転。昨年秋のリーマンショック以降、海運業界は荷動きと運賃の悪化に苦しんでいる。

 今中間決算では、日本郵船、商船三井、川崎汽船の3社すべてが最終赤字に沈んだ。特に足を引っ張っているのが、コンテナ船事業だ。

 前年同期比で見ると、この上期、コンテナ船の運賃は航路によるが、10~40%以上も減少した。現在、船会社は運賃の値上げ交渉に取り組んでおり、「8月以降、欧州航路の運賃がかなり改善してくるなど、効果が見えてきた」(川崎汽船)というが、船余りという構造的な問題の解決は道半ばだ。

 現在、世界のコンテナ船はおよそ1300万TEU(20フィートコンテナ換算個数)のキャパシティがあると言われているが、過去の好景気時に発注した新船の建造が進んでいるため、2012年には1.5倍のキャパシティに膨れ上がると予想される。

 徐々に荷動きと運賃が回復したとしても、圧倒的な供給過剰が続くというわけだ。

 そこで川崎汽船ではこの8月、「収益構造改革委員会」を発足。売船や傭船契約の解消、さらには発注済みの船の竣工時期を後ろ倒しや、船種を変更するなどの改革を進め、今期500億円の特別損失を計上する見込みだ。

 また、日本郵船は老齢船の処分などによって、2015年までにコンテナ船数を2008年度の半分にまで削減する計画だ。ここまで大がかりではないが、商船三井も高コスト傭船の中途解約などを勧めている。

 しかし、「向こう3~4年くらいは船余りが続くとしても、その後は市況が回復して傭船料が上がってくる可能性もある」(商船三井)。そうなれば、スポットでの調達は難しく、大幅な減船は自らの首を絞めかねない。経営者の舵取りの腕が問われている。

(「週刊ダイヤモンド」編集部 津本朋子)

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