海外の展示会では外国人もびっくり
高度な技術はまるで「魔法」か

 ところで木の皿は長持ちするのか、という疑問を持つ方も多いだろう。

「札幌のお店で4年くらい使ってもらってますけど、全然問題はないみたいです。うちは無料で修理もやっているので、日常的に使ってもらいたい」

──最近、一押しの製品というか、力を入れているものはありますか?

外国人を“アート”“魔法”だと驚かせた<br />紙のように薄い「木のコップ」を生み出す日本の職人木は一年に一度、まとめて確保しなければならない。高橋工芸のウェブページには器をつくることは「山と人を繋ぐ仕事」とある。適正な木を伐採し、育てることで、山は健康を保つことができる。そうした循環を木の器は教えてくれる

「いや……これまで通りやっていきたいという感じですかね。そういえば最近、工芸品が見直されている傾向がありますね。父がやっているようなエンジュという木を使った製品がよく出ています。『引退できない』って文句を言われてます(笑)」

 海外の展示会などから引き合いも多い。

「外国人の方は手にすると軽さに『あれっ』となる。ドイツあたりに持って行くと完全に最初はアートと思われる。どうやってつくるのか、わからないみたい。一応、映像とかも持って行くんだけど、信じてくれないくらい」

 アーサー・C・クラークの『充分に発達した科学技術は、魔法と見分けが付かない』という言葉があるが、僕に言わせれば職人の技術は不可能を可能にする魔法のようだ。ましてや外国から日本は「ハイテクの国」と思われている節があり、先進国なだけにこうした質の高い手仕事が残っていることに対する驚きは大きい。

「難しいのは材料の確保。ここ数年、その年の分確保するのがやっとという感じです。というのも木をあまり切らなくなっていますからね」

 山は木を手入れし、適正に切り、若い木を育てることで保たれる。経済的な理由などから木を切る量が減っている日本の山林について考える機会を木の日用品は与えてくれると僕は思う。

 この器で飲む、コーヒーはおいしい。木の持つ高い保温性でいつまでも味を保ってくれるだけではなく、柔らかな口当たりが味にまろやかさを与えてくれる。なにより木の器で飲む暖かな飲み物は、心までゆるやかな気持ちにしてくれるのだ。

【動画】高橋工芸 「Kami Glass」

(写真・映像/志賀元清)