予想されていたこととはいえ、民主党の大勝、自民党の惨敗で、政権が交代した。新聞各紙の「民主党300議席を超す勢い」という1週間前の調査はよく当たった。各紙の調査はいずれも乱数発生させた番号に電話する方式で、有効回答数は数万から十数万程度だ。これだけ当たると、投資家として羨ましい気持ちになるが、考えてみると、株式市場は毎日世論調査をやっているようなものであり、1週間後の株価のベストの予測は、ほぼ今日の株価なのだ。

 総選挙翌日の株式市場は、朝は日経平均で200円ほど高かったが、その後、円高や中国株の下落などで値を消し、41円安で終わった。地味な反応だったが、これまでに民主党優勢が伝えられるなかでも株価が堅調だったことを考えると、株式市場は少なくとも政権交代を悪くは見ていないようだ。

 この日の朝、もちろん市場が開く前に、大手証券は選挙結果に対する投資のうえでの評価とその結果どういった業種あるいは銘柄が、有利または不利になるのかをまとめたレポートをメールで配信した。

 ある大手証券のレポートを読んだが、株式市場全般に対しては、子育て支援などの民主党の家計支援が内需拡大に結び付くことと、長期的には少子化対策になり潜在成長率にプラスに働きそうだということから、株価への影響をプラスと見ていた。選挙結果は十分予想されていて「織り込み済み」なので「短期的な影響は限定的」という注釈付きだったが、この分析には筆者としても違和感がない。ただ、主な論理展開のなかで、内需の成長や生産性の上昇に対して「多くの外国人投資家が日本経済に求める」という言葉が付いていたのが印象的だった。