データの詰まった「月報」には、
売上アップのヒントが満載

 さて、コインパーキングをオープンさせた後も、流れにまかせて月々の収益を受け取るだけではもったいない! 私にとっては、ここからの工夫が楽しいところです。

 私は、集金業務を自分で行っています。精算機から現金を取り出すのは理屈抜きにワクワクしますし、定期的に現場に行くことで、パーキングの現状がよく分かるのが大きな収穫なのです。

 たとえば、「平日より土日のほうが稼働率がいいみたいだけど、住宅地だから休日に友達を訪ねてくる人が多いのかな」といった具合。また、近隣のライバルの状況もチェックし、価格変更をしていないか調査します。
 こんなふうに現場を見て気付いたことが、料金設定を変えたりする材料になるのです。

 さらに、とても参考になるのが、保守管理業務を行う会社が送ってくれる「月報」です。毎月の売上が、車庫番号別に、出庫件数や駐車時間も併せた一覧表になっているので、一目瞭然で売上データを知ることができるのです。

 しかも、リクエストすれば、曜日ごとの売上データ、1日の時間ごとの入出庫件数の一覧、時間や日にち別の稼働率のグラフなど、知りたい項目を軸にしたデータをすぐ出してくれますから、本当に有り難いです。

 この強力なデータがあれば、売上アップのためのさまざまな戦略を立てることが可能。たとえば、夜間の出庫台数が意外と多いから、夜間料金をアップしてみようというのも一案です。私も実際、夜間料金を100円アップしただけで毎月の売上が2〜3万円も上がり、確かな手応えを感じたことがありました。

商業地と住宅地それぞれの、
ニーズに合わせて料金設定

 また、このデータからは、場所柄を反映したヒントも読み取れます。私は商業地と住宅地の両方でパーキングを運営していますが、商業地のほうは1台あたりの利用時間が短くて、回転率もいいことが分かりました。

 そこで、周りの駐車場は15分100円のところも多いのですが、あえて20分100円にしました。お得だと感じてもらいつつ、なるべくたくさんの車に駐車してもらいたかったからです。

 その結果、稼働率はさらに上がりましたが、収益構造の例で説明したように、30分200円に設定するのもアリだと思います。15分あたりの料金は同じですが、10分停めても20分停めても200円ですから、回転率が同じ場合でも売上は多くなるというわけです。

 いっぽう、住宅地のほうは、プライベートで来る方や長時間停める方が多いので、お得感のある設定にしました。
 また、夜間料金は22時からというところが多いのですが、私は20時からにしました。データを見たら、夜間は20時台に入庫するケースが多かったのです。おそらく、社用車で家まで帰ろうと思う方が帰宅するのが、そのくらいの時間なのでしょう。

 ですから、帰宅時間に合わせた夜間料金の適応にしたほうが親切だと思いました。あまり欲張るより、利用しやすい環境にしてあげて、常連さんになってもらうほうがうれしいですから。

 こんなふうに、現場とデータの両方をチェックして、料金設定を柔軟にアレンジしてみてください。自分が練った戦略が的中して売上がアップすると、本当にうれしいものです。頑張ったぶん、結果はきちんとついてきますから、きっとやり甲斐を感じていただけると思います。

 これまで、3回にわたってコインパーキング運営の魅力とノウハウを簡単にご紹介してきましたが、いかがだったでしょうか?

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「コインパーキングなんて未知の世界だったけど、これなら自分にもできるかもしれない!」

 そんなふうにご興味をもってくださった方は、ぜひ拙著を手にとっていただけたらうれしいです。
(取材・文 高瀬由紀子)