週末、大型スーパーやファミリーレストランなどに自動車で出かける人なら、気づいているかもしれない。最近、そうした商業施設の駐車場が続々と、パーク24の管理する駐車場「タイムズ」に入れ替わっているのだ。
多くの商業施設は駐車場を自社で管理している。だが、悩みも抱えているのが実情だ。
規模が大きくなれば有人管理が必要になりコストがかかるし、不正駐車も少なからずある。また、無料の大型駐車場なら夜になると若者がたむろする場と変わり、なにかとトラブルを起こしがちだ。
そこに需要があると判断したパーク24は2001年に商業施設の駐車場管理受託の「TPS(タイムズパートナーサービス)」を始めた。
パーク24といえば、街中の空き地の所有者から借り、そこに駐車場を設置し、料金を収集する時間貸し駐車場の最大手。
カメラによる監視、コールセンターでのトラブル対応や、巡回サービスなど24時間の駐車場管理のノウハウでは右に出るものがいない。
商業施設がTPSを導入すれば、前述のような悩みも解決する。そして、当初の1時間は無料で2時間以降は有料になる、もしくは、店舗で購入した客は無料になるなどと、条件を設定できるため、店舗を利用する客にとっては負担増にならないケースがほとんどだ。
また、TPSは立地や周囲の料金相場によって、3つの料金形態が用意されているが、ほとんどの場合、導入費用はかからない。立地が良ければパーク24側から商業施設側に賃料を支払うこともある。
つまり、それまでコストがかかるのが当たり前だった駐車場管理が無料になる、場合によっては利益を生む可能性があるのだ。
加えて、パーク24は今年から、TPSの導入商業施設に「タイムズマーケティングサービス」と称してマーケティング情報を無料で提供し始めた。
パーク24は、提示することで商業施設の利用が割引になるなどの特典がある会員サービス「タイムズクラブカード」を展開しており、現在300万人の会員がいる。会員は、タイムズのゲートを出る際に、このカードを精算機にかざす。
すると、パーク24にはその商業施設にどの地域から、どの年齢、性別の客が来たのかというデータが集まる。それを商業施設に提供し、商業施設はチラシ配布の参考データとして活用するなどしている。
さらに、パーク24ではカーシェアリング事業も展開しているが、TPSを導入する大型商業施設からは客向けにカーシェアリングを提供したいという要望が強く、現在、導入が進んでいる。
商業施設にとっては、コスト削減、本業への集中、マーケティングデータの無償提供、カーシェアリングなど、導入のメリットがきわめて大きい。そこで、イオンや、ヨーカドー、ヤマダ電機といった大手流通がこぞって、TPSを導入しているわけだ。
そして、もう一つの急増の原動力が行政からの受託だ。
2003年に施行された指定管理者制度によって、公の施設も民間が管理運営できるようになった。これが追い風となり、パーク24は横浜市や川崎市の駐車場運営を受託。さらに増える可能性は高い。
昨年は1万6000台ほどだったTPSの導入台数は、今年は半期だけで2万4000台を超え、年間では5万台に迫る可能性もある。現在、他のコインパーキング各社はこの受託事業にまったく参入できていないとあって独走状態だ。
TPSの累計の駐車スペースは、17万6000台。パーク24全体で29万台だから、半分以上がTPSによる台数ということになる。もはや、パーク24の主力となったTPS事業への追い風はさらに強まりそうだ。
(「週刊ダイヤモンド」編集部 清水量介)