経営 X 人事

ならず者たちはフォロワーシップを
発揮できるのか

ならず者たちへの「コーチング」と
「フォロワーシップ」のインプット

 1on1ミーティングをより良いものにするために私たちが手法として取り入れたのが「コーチング」です。もちろん、よい1on1ミーティングはコーチングだけでは成り立っていませんが、まずはコーチングによって部下のフォロワーシップを引き出すことにしました。

 当時の管理職は実際の業務において活躍したひと、すなわち「率先垂範型」のタイプが登用されることが多く、部下の話に耳を傾け、フォロワーシップとは何か?と考えるようなタイプはあまり目立っていませんでした。

 もともと、「Yahoo」という社名は「ならず者」という意味があります。Yahoo! JAPANはよい意味でならず者の集団です。その集団に、人の話を聴きなさい(コーチング)、フォロワーシップを発揮しなさい、というのは想像しただけで一筋縄ではいかないことは明らかです(笑)。

 この方針が決定してからのスピードはまさに爆速でした。1ヵ月間で約700人の全管理職(もちろん執行役員も)に対して「コーチング研修」でコーチングの基本スキルを、「フォロワーシップ研修」でフォロワーシップの概念をインプットしました。

 この期間、毎日、毎時間、社内のどこかで研修が行われており、急速に「コーチング」「フォロワーシップ」という単語が飛び交うようになったのです。

 その後、上司と部下との1on1ミーティングの実施が全社的に義務付けられました(週一回30分は目安であって、頻度と時間は臨機応変に対応する)。

 ここから人事施策を大きく変えて行くことになりますが、すべての人事施策のど真ん中にこの1on1ミーティングがあります。上長が部下の話を聴くための努力をし、部下がフォロワーシップとは何たるかを語り始めた、こうして改革は少しずつ動き出しました。

社内に「渇き」が産まれた

 「コーチング」と「フォロワーシップ」という二つの概念をインプットされた管理職の人々は、見よう見まねで1on1ミーティングを始めました。

 ミーティングスペースで、カフェで、会議室で……。社内のあちこちで一対一の打ち合わせが頻繁に行われるようになりました。

 あまりこれまでに見られなかった風景がとても目新しかったことをよく覚えています。上司はなんとか部下のフォロワーシップを引き出すために、コーチング研修で得た知識のひとつである「傾聴」を実施しようと必死です。

 ところが、上司は何を聴けばいいかわかりません。

-とりあえず、「最近どうよ?」と切り出してみようか……

 聴かれた部下も戸惑います。

-これまで話を聞いてくれたことがなかったあの鬼上司がニコニコして話を聞いてくる。急にどうよ?と聞かれてもなんて言えばいいんだろう……

 このように1on1ミーティングが必ずしも機能しているわけではありませんでした。

-本当に意味があるんだろうか?
-もっとうまくやりたいが、どうすればいいんだろうか?

 社内に「渇き」が産まれました。

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2002年地元の仙台にて菓子製造小売業を起業し、2005年ヤフー株式会社に入社と同時に28歳にして初の上京。
ヤフーオークション、ヤフーショッピングの企画・営業を経験後、2012年より組織開発・人財開発に携わる。
 


ヤフー「爆速人財育成」の秘密

2012年4月に新体制に移行し、「爆速」をキーワードにスピード経営を進めるヤフー。企業提携や新サービスの展開など、その事業はダイナミックに拡大成長する。その爆速経営の基盤の一つとして、人材マネジメントも変革してきた。本連載は、ヤフーの人材マネジメントの根幹である「1on1ミーティング」を軸に、育成の秘密を明らかにする。

「ヤフー「爆速人財育成」の秘密」

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