ブランドビジョン主軸経営への移行に伴い日本ブランドが直面する課題と阻害要因は何か。それは、ブランディング技術の壁であるはずが無く、結局は、経営者のマインドセットと、それを反映したインターナルなガバナンスの考え方である。

 日本ブランドの多くは、ボトムアップの合議制でブランディング活動を実施しているが、ブランディングの肝は、投下資本効率や費用対効果を最大化させるための、選択と集中にある。コンセンサス重視で、最大公約数的な施策策定プロセスを重視する日本企業型ボトムアップアプローチと、選択と集中を要するブランディング活動を、いかに整合させていくか。

 その課題解決を担うのが、ブランドに関連する意思決定の統括・管掌する「Chief Brand Officer(以下CBO)」という存在だ。一般的なCMO(Chief Marketing Officer)としなかったのは、ブランディングを活用しながら組織とオペレーションの変化を推進する、「戦略とは異なる視点を持つべき、ブランディングの最高責任者」という意味を明確に読み取っていただきたいからである。

 日本ブランドでも、CBOがCEO(最高経営責任者)やCSO(最高戦略責任者)と協働しながら、ブランディングにおける選択と集中に関わる意思決定を、従来のボトムアップアプローチと整合させながら行っていけば、ブランド価値は成長していくに違いない。

ブランド経営に息を吹き込むCBOの役割

 ブランディングの「選択と集中」を実現するためにCBOが担う役割をご紹介したい。

単純なボトムアップアプローチのみによる弊害 ⇒ CBOが担うべき役割

(1) 総花的なブランドビジョンを作成しがち ⇒ 研ぎ澄まされ、ストーリー化されたブランドビジョンを策定する

(2) 純血主義でチームを作る ⇒ 考え得るベストを目指してドリームチームを組成する

(3) 顧客体験やブランド力を測定する指標を持たず、成果を曖昧にしている ⇒ 顧客ブランド体験の改善度やブランド価値増大を、経営全体の最重要KPIの一つとする