「人生一度。不倫をしましょう」――。こんな刺激的な謳い文句で物議を醸しているSNSがある。先月、日本に上陸した不倫推奨SNS「アシュレイ・マディソン」だ。これまでも日本には、様々な「出会い系サイト」が存在し、最近ではSNSで出会う男女も増えている。しかし、「アシュレイ・マディソン」は「出会い」を堂々と謳い、しかも「不倫」」という男女関係のタブーにあえて切り込んでいる点が、これまでのサービスとは大きく異なる。近年、出会い系サイトに起因した犯罪は減少傾向にあるが、同サービスの登場により、新たなトラブルが問題化する可能性も考えられるのだ。進化する出会い系市場のリスクと、我々が問われる倫理観について考えたい。(取材・文/フリーライター・宮崎智之、協力/プレスラボ)

「不倫をしましょう」は悪魔の囁きか
アシュレイ・マディソンって何だ!?

先月日本に上陸し、物議を醸している不倫推奨SNS「アシュレイ・マディソン」。「出会い系市場」は新局面に入りつつある

「既婚者のためのまじめな出会い系サイトって、何だ!?」

 先月下旬、日本でサービスを開始した不倫推奨SNS「アシュレイ・マディソン」(ASHLEY MADISON)が、ネットユーザーの間で物議を醸している。「アシュレイ・マディソン」は、カナダ、アメリカ、イギリス、フランス、南アフリカ、アルゼンチン、インドなど28ヵ国で運営されており、会員数は2000万人に迫る勢いだ。今年8月には香港でもサービスが開始される予定となっており、世界的な広がりを見せている。

 基本的な仕組みとしては、登録、写真のアップ、他会員の検索、ウィンク(既成メッセージ)の送信は無料。メール、チャット、バーチャルギフトなどを利用する場合は料金がかかるが、支払いは男性のみで、女性は無料というシステムを取っている(有料の場合は、最低4900円のクレジットを購入する必要がある)。「不倫推奨」と言っても未婚者も登録ができるため、実際は「既婚者専用」ではない。

 ちなみに、筆者が「身長178センチ、体重69キロ、世田谷区在住、短期の関係を希望」という簡単なプロフィールを登録してみたところ、1週間で6人の女性からコンタクトがあった。

 ただし、出会い系サイトには女性会員を装った「さくら」の問題が付きものだ。「アシュレイ・マディソン」では、会員の事前審査が行われていないため、出会いを求める本物の女性からのコンタクトかどうかはわからない。

 また個人情報については、ホームページ上で「どのようなことがあっても、会員のプライベートメールアドレスやその他の個人情報を、第三者の会社に貸与したり渡したりすることはありません」としているが、不倫というトップシークレットの情報を扱っているため、不安視するユーザーもいる。