(1) 相手が裏切ったからといって、こちらもそれをすると関係が壊れる。あくまでも協力的な対応をとりつづける。
(2) 相手が先に裏切ってきたのだから、遠慮はいらない。これまでの協力的な態度をやめ、仕返しする対応をとったほうがよい。
(3) 相手が裏切ったからといって、それには理由があるのかもしれない。少しだけ様子を見ながら協力的な反応をつづけ、さらに裏切りがつづくようなら、対応を改める。

殴られたら、“すぐに”殴り返せ

 ビジネスをつづけていれば、お得意様や取引先からいきなり手を切られるとか、注文を減らされるとか、これまでの信頼関係からは「裏切り」としか思えない行為をとられてしまうことも多いだろう。

 私は出版業界のことしかわからないが、雑誌の連載をいきなり打ち切りにさせられるとか、いつの間にかネットで作家の悪い噂が広がっていて、その出所を調べてみると、担当編集者が流していたということがわかった、という話は枚挙にいとまがない。いつ裏切りにあってもおかしくない世の中なのである。

 さて、交渉においては、もし相手があなたを裏切るような手をとったら、こちらからも断固としてやり返したほうがいいことが知られている。即座にやり返さないと、相手を調子に乗らせてしまうので、すぐに痛い目にあわせるのである。「やられたら、やり返す」では、まるでヤクザの仕返しではないか、と思われる読者がいるかもしれないが、現実的にいって、これが1番の作戦である。

 このやり方は、「しっぺ返し」戦略(tit-for-tat strategy)と呼ばれているが、あまりにも有名な戦略なので、ご存知の人も多いだろう。心理学の研究でも、しっぺ返しをすれば、あわてて相手はもとの協力反応に戻ってくれることがわかっている。

 ミズーリ大学のケネス・シェルドン博士によれば、しっぺ返しすることにより、相手に「痛い目」を見せれば、その後はずっと協力反応をとってくれることがわかっている。シェルドン博士が、1ヵ月後にもう一度同じ実験をしたところ、前回にしっぺ返しをされて懲りた人たちは、1ヵ月後にも、協力するようになっていることが判明した。「やられたら、やり返す」ことをされると、私たちは、自分からは手を出さなくなるのである。