米景気堅調を主エンジン、アベノミクス下の質的量的金融緩和(QQE)を副エンジンとして、ドル円の上昇に弾みがつくと筆者は唱えてきた。数カ月前まで当欄の2015年末120円予想は「とっぴ」と見なされがちだった。
当時、一部円高派のロジックは論外として、多数派の「小幅円安」論者が言う、米金利上昇は限定的、円は既に割安、一段の円安は日本にマイナス、だから大幅円安はないとの筋立ては、この環境では妥当ではないと主張してきた。円が急落し、今やほぼ全員が「とっぴな円安」派になった。そこで、当欄では新たに予想を15年末125円、16年末130円とする。
円安予想の論点は変わらない。米経済は自律回復を続けて15、16年とも3%超の成長を見込む。米景気拡大局面ではドル高・円安となりやすい。12年春に米住宅市場の改善を景気回復の端緒とみて、ドル円(当時75~80円)が15年末100円へ向かう予想を出した。この100円はドル円の「通常」の循環変動が、上図の購買力平価(PPP:日米物価の相対比に基づくドル円の理論値)上下20%内で推移する傾向を踏まえたものだった。