解散をせずに通常国会に先送り法案を提出した場合、その法案の成否をめぐって国会が混乱し、権力闘争に発展する可能性を安倍は感じ取っていたのだ。

 この発言からも推察できるように安倍が警戒しているのは野党ではない。権力闘争の「仮想敵」は自民党内と財務省を中心にした霞が関だったことをうかがわせる。そこから見えてくる安倍の真の狙いは、「永田町と霞が関の平定」だ。

 後藤氏の筆はこの後、さらに激しさを増し、冴え渡っていきます。


アベノミクスは完全に失敗している
日本の最優先課題は少子化対策だ

 グローバルで活躍する経営コンサルタントの大前研一氏は、今回の大義なき解散総選挙を「みっともない」と切って捨てます。われわれが選挙で問うべき本当の「日本の論点」は何なのか、お聞きしました。

──今回の解散総選挙をどのように見ていますか。

 みっともなくて、コメントする気にもならないくらいひどい。

 アベノミクスがうまくいっているのであれば、来年10月に予定通り消費増税を実施すればいい。それを先送りするというのは、うまくいっていない、という認識が安倍(晋三)首相にはあったはずです。それにもかかわらず、「この道しかない」といってアベノミクスの信任を問う選挙をするのは、論理的に完全に矛盾しています。

 こんなことがまかり通るのは、安倍首相が野党を、ひいては国民をなめているからです。

 年末から来年にかけて、アベノミクスの失敗を示す惨憺たる数字がぞろぞろ出てくる。来年以降、選挙はできないでしょう。だったらいまやっておいて、あと4年の任期を確保して(これまでの2年と合わせて)6年やろうという魂胆です。その間に、自分が本当にやりたいこと、「戦前の強い日本を取り戻そう」ということでしょう。