「異性愛でない人」の自殺未遂率は
「異性愛者」の約6倍という日本の現状

 おがたけさんがネット上でカミングアウトできたのは、09年。30歳になってからだ。

「私がいま、支援者や相談者に対して、“いるんです” “とにかく想定を持ってくれ”と言っているのは、こういう経験があるからなんです」

 長年、自助グループなどで当事者たちにインタビューを行い、07年に『ひきこもりの<ゴール>-「就労」でもなく「対人関係」でもなく』(青弓社)を上梓した石川良子・松山大学人文学部准教授は、『ひき☆スタ』(神奈川県の委託を受けて「NPO法人横浜コミュニティデザイン・ラボ」が運営する“きっかけ”サイト)の中で、<「ひきこもり」とセクシュアルマイノリティは根っこではつながっている問題だ>との考えを示し、こうコメントしている。

<自分で稼いで生計を立てられるようになる、親元を離れる、結婚する、子どもができる――。このうちのどれか1つ、もしくは全てを達成したときに“一人前になった”と認められる。これが日本社会の現状です。しかし、このように“一人前”を捉えている限りは、引きこもっている人もセクシュアルマイノリティの人も未熟で劣った存在として軽んじられ続けることになります>

 これまで、セクシュアル・マイノリティーのひきこもり状態に関する公的なエビデンスは、日本国内にはほとんど存在しない。

 ただ、ぼんやりと輪郭を映し出したデータもある。2001年、大阪のアメリカ村で2000人余りの15~24歳の若者に自殺経験の有無などを街頭調査し、ホームページに公開した日高庸晴(宝塚大学看護学部教授、関西看護医療大学看護学部講師)らの研究だ。

 調査によると、男性における「異性愛でない人」の自殺未遂率は、「異性愛者」の約6倍に上ることが明らかになっている。

「異性愛が前提になる社会」に生きにくさを感じるセクシュアル・マイノリティーについて、これからもっとみんなで議論していかなければいけない。

 次号以降も、「セクシュアル・マイノリティーの引きこもり」について取り上げたい。