米国産牛肉価格の高騰に加えて急激な円安がトドメとなり、牛丼の価格が上がっている。吉野家は9日、並盛りの価格を380円と、従来より80円値上げすることを発表した。激安戦争によってサラリーマンのお昼の友として定着した牛丼チェーンは、今後どこまで高価格化していくのだろうか。(ダイヤモンド・オンライン編集部 津本朋子)
牛肉価格高騰と円安が直撃
すき家の今後に注目
25商品を30~120円値上げすることを発表した吉野家ホールディングス。7月には、松屋フーズが一足先に熟成された牛肉を使った「プレミアム牛めし」を380円で投入し、実質値上げをしているから、これで大手チェーン2社が380円で足並みをそろえたことになる。今年春には270~300円だったのだから、大幅な値上げだ。
値上げの背景には、牛肉価格の高騰と、急激な円安がある。
牛丼チェーンが主に使用しているのは米国産牛肉なのだが、天候不順によって牛の生育が不良な上、中国をはじめとした新興国の牛肉消費量が増えているため、なんと価格が今年4月から2倍にも上がってしまったのだ。加えて、円安も牛丼各社の業績を圧迫している。
大手3社のうち、並盛291円で踏ん張っているのはゼンショーホールディングスが運営するすき家のみとなってしまった。
そのゼンショーは深夜営業を店員1人だけに任せる、いわゆる「ワンオペ(ワンオペレーション)」問題で約1170店舗の深夜営業を停止。2014年4~9月期決算では22億円の最終赤字となった。業績の悪化しているすき家がいつまでも持ちこたえられるとも思えないため、値上げは時間の問題だと見る向きが多い。