発電した電気を高値で買い取ってくれる太陽光発電投資は“おいしい商品”だ。しかし、買い取り制度が揺らぎ始めており、先行きに暗雲が立ち込める。ダイヤモンドQ編集部が現状を探った。

 「太陽光発電バブルは終わる。2014年度中の申し込みで、タイムアップかもしれない……」(太陽光発電事業者)

 太陽光発電投資がちょっとした騒動を巻き起こしているのをご存じだろうか。日照時間が確保できる地域に土地を購入または賃借し、ソーラーパネルを設置して発電した電気を電力会社に買い取らせる事業投資だ。

 ところが、応募者が殺到したことで送電網の容量を超えてしまい、電力会社が新規の系統連系(太陽光発電所と電力会社との接続)の承認をストップしてしまったのだ。

電力5社が低圧太陽光発電に関して、新規の送電網の接続を中断した

 こうした買い取りの仕組みは12年に施行された「再生可能エネルギーの固定価格買取制度」によって、全ての電力会社に義務化されている。この買い取り価格が高く設定されたことで、事業投資に火が付いた。
 上図のように、14年度の電力会社の買い取り価格は家庭用が37円、事業用が34・56円(税込み)。この価格は日ごろ消費者が電力会社から購入する電力料金の倍以上(東京電力管内は夏季で1キロワット時当たり約17円)。

 もう一つ、投資として魅力的なのが長い買い取り期間だ。

 家庭用は10年間、事業用は20年間も固定価格で買い取ってくれる。買い取り価格は毎年見直されているが、既契約者は契約時の価格がずっと続くというおいしい制度だ。

 「賃貸マンション経営に比べてはるかにリスクが少ない」。2000万円を投じて九州に50キロワット時クラスの太陽光発電所を建設予定の投資家、JACK氏はこう話す。

 アパート経営は景気によって家賃相場が変動し、空室リスクがあり、築年数がたつほど収益は不安定になる。一方の太陽光発電は20年間、相場よりも高い価格で買い取ってもらえる上に、アパートのような駅近の好立地を求められることはなく、値が付かない山林のような土地でもできる。いいことずくめだ。

 そのJACK氏が建設予定の太陽光発電所の収支を試算したところ、減税制度なしでも表面利回りが約13%で、投資回収に約8年しかかからなかった。