再エネ政策混乱の責任は
民主党のみならず自民党にもある
資源を満足に持っていない日本が、自然エネルギー、即ち再生可能エネルギーを振興していくことは当然のことだ。だが、再エネの固定価格買取制度(FIT)の現状を見るにつけ、この制度は前民主党政権の首相だった菅直人氏の“大きな負の遺産”であると思う。結論から言うと、再エネ推進の方法を大きく誤っているのだ。
では、現自民党政権はどうなのか。私は、この点に関しては、自民党は民主党と同じ穴の貉(むじな)にしか見えない。政権に返り咲いた2012年12月の前回衆院選の公約として、『当面の優先課題として、3年間、再エネの最大限の導入』を図る旨を掲げた。そして、制度発足前から多くの問題点があることがわかり切っていたFITを、まともな手直しを殆どせず、今まで半ば放任・黙認してきた。
特にメガソーラー(比較的大規模な太陽光発電)に関して、高過ぎる買取価格や資源エネルギー庁による設備“認定”の甘さのせいもあり、“バブル”的な伸びを見せた。そうして、太陽光も含めた再エネ発電の電気を買い取る電力会社側の送電容量を超えるという異常な状況になってしまった。
現在、電力5社(北海道・東北・四国・九州・沖縄)が、新たな再エネ事業の参入予定者から電気を買い取るための接続を停止している。いわゆる「再エネ接続保留問題」だ。政権を担う政党として、自民党の責任はあまりにも重い。
これらの既“認定”設備の再エネ電気の全量を買い取るとともに、“原発ゼロ”を続ける、即ち“原発ゼロ+再エネ全量買取り”という最悪の状態になると、年間で総額6.4兆円、国民1人当たり年間5.3万円の負担増となる。これは、消費税2.5%分とほぼ匹敵する額だ(このあたりのことは、前回11月25日付け拙稿に詳しいので適宜参照されたい)。