TPPに対する賛否の議論で、「日本の農業は海外の安価な農産物に駆逐される」という不安が多かった。果たしてそうだろうか。上海のスーパーでは、中国米の隣に「Made in China」の「ササニシキ」が山積みになっている。しかしその隣には、「Made in Japan」と書かれた「ササニシキ」が置いてある。中国産の「ササニシキ」と日本産の「ササニシキ」は値段が違うのだ。むちろん、上海人は「Made in Japan」の「ササニシキ」を買う。

 中国の友人はこう語る。

「中国人は中国人を信用していない。日本の食べ物は安心だ」

 福岡のいちご「あまおう」は、ロシアでは1パック5000円でも売り切れるという。台湾の知り合いの経営者は、手土産には必ず日本産のリンゴを持って行くという。日本の農産物は競争力があるのだ。

 流通・通信網も発達した。ネットを介せば、アラブの富豪からタイのお金持ちまで直接取引ができる。私の友人は趣味で始めた蜂蜜のネット販売をしている。1瓶、5000円だが、1週間で売り切れるという。中には、フランスからの注文もあるらしい。

 日本の農家の方々に、自分たちの農作物が世界中の垂涎の的であることを教えてあげよう。そして、具体的な実現手段も手伝ってあげよう。製造業の効率化の手段は、日本の農業を成長産業へと導けるはずだ。日本においても、海外で最も多くモノを販売している業種は製造業だ。

 トヨタは、トヨタ生産方式の哲学を農業にも活かすべく、農業IT管理ツール「豊作計画」を販売し、農業法人にも出資をしている。

製造業のコンセプトを導入して
安心で豊かな医療と介護の国へ

 さらに、「医療分野」にも製造業のノウハウを役立てることができる。たとえば大学病院の待合室は、人で溢れ返っている。1時間、2時間待ちも珍しくない。かと言って、スタッフが働いていないわけではない。バタバタと動き回っている。