
松本晋一
第21回・最終回
タカタに端を発する自動車のリコール騒動を見て、筆者は改めて感じた。理念なきモノの発展だけでは、日本は成長できないと。日の丸製造業の技能・技術には、本来世界をリードする力がある。連載最終回は、その「使命」について考えたい。

第20回
中国人に話を聞いたり、中国の製造業の現場を視察に行ったりして、感じることがある。中国のゲンバの凋落が、すでに始まっているということだ。深層的な実力を持つ日本企業の優位性はまだあると思える反面、それは我が身を映す鏡でもある。

第19回
世界で大型のM&Aが相次いでおり、日本企業が規模追求の戦いに参戦することも多い。世間に蔓延する「成長は是」という暗黙の前提条件は、本当に正しいのだろうか。日本企業が本来目指すべき「小さな巨人」の姿とは、いったいどんなものか。

第18回
今や、家庭の一員となった観のあるお掃除ロボット。なかでもアイロボット社の「ルンバ」は、市場の開拓者として知名度が高い。実はこのルンバ、そのビジネスモデルをよく観察すると、機器販売だけに止まらない、裾野の広いビジネスモデルを持っていることがわかる。

第17回
日本の新幹線は世界一だと信じている日本人は、多いはずだ。しかし、世界市場で勝っているかと言えばそうでもない。世界一の力を秘めているのに、なぜ勝てないか。日本の新幹線が世界のスタンダードになるために、越えるべき壁を論じたい。

第16回
日本の鉄道業界は、海外で本当に競争力がないのだろうか。そんなことは全くない。とりわけ鉄道運行会社は、市場創出企業になれる可能性を秘めている。彼ら自身も気づいていないであろう、海外勢を驚愕させる神業的なノウハウを分析する。

第15回
筆者は、日本の鉄道業界は世界の頂点に立てると思う。しかし現実は、欧州のみならず中国の企業にまで押されている。日本の鉄道業が「市場創出型企業」として世界で互角に戦えるようになるためには、何が必要か。その課題と成長可能性を探る。

第14回
日本企業を窮地に追い込んだサムスンの業績に、急ブレーキがかかった。「第二のサムスン」とも言うべき新興企業に追い上げられているからだ。こうした電機業界のトラウマは、グーグルなどが参入を始めた自動車業界でも表面化する恐れがある。

第13回
先日発表されたアップルとIBMの提携は、協奏曲となるのか。はたまた、狂想曲となるのか。筆者は、世間で言われている「世紀の提携」という評価にはいささか懐疑的だ。この提携は、アップルの強いビジネスモデルを壊す可能性もあるからだ。

第12回
事業規模でグローバル企業に負けても、利益では彼らを凌駕する。実は日本には、そんな企業がある。それがコマツだ。実は、コマツの真の強みは建設機械ではない。彼らはアップルと同じビジネスモデルを持つ、「市場創出型企業」なのだ。

第11回
製造業のサービス業化の流れが進む昨今、技術で勝っても事業で勝てない日本企業が増えているのは、アップルやグーグルのような「価値づくり企業」へと脱皮できていないからだ。部分最適から抜け出すための「Think Forest思考」を考えよう。

第10回
真にイノベイティブな企業はソニーだった。アップルはソニーの背中を見ていた――。王者アップルと苦境のソニーを比べてこう評すると、一笑に付されるかもしれない。だが、両社の戦略的思考の違いを考えると、その言葉は現実味を帯びる。

第9回
ソニーから日本産業パートナーズの投資ファンドに売却され、新たに発足する「VAIO株式会社」。関係者にとって、ソニーから出ることは不幸だろうか。筆者はそうは思わない。VAIO株式会社こそ、真にソニーらしい会社になれると思うからだ。

第8回
家電不況の代名詞となったソニー。そのDNAは失われてしまったのだろうか。筆者の答えは「ノー」である。今回は、ソニーのエッジであり財産でもある社内文化のマネジメントについて考える。そこには、日の丸製造業復活のヒントがある。

第7回
アップルは技術がすごいのではなく、ビジネスモデルがすごいのだ――。それは必ずしも正しくない。アップルは製造を外注しながらも、日本企業を凌駕する「ゲンバ力」を持っている。欧米モデルを誤解し安易に模倣する日本企業のリスクを斬る。

第6回
製造業の現場には、「神業」とも言えるベテランのノウハウが眠っている。それはまさにビッグデータだ。その技術資産を可視化し、経営や人材育成に活かすことはできないものか。無知だからこそわかる「技術資産の棚卸し法」を教えよう。

第5回
自社製品を競合他社に真似され易くなり、競争が激化してしまう。今や「モジュール化」という言葉には、ネガティブなイメージがある。だが、それは本当に正しい認識だろうか。「第二世代のモジュール化」は、むしろ企業の競争力を強める。

第4回
最近、製造業のエンジニアの中には「コピペ設計」ばかり行う「チェンジニア」が増えていると聞く。これでは、自社のチャンピオンデータを標準化し、技術力を高めることはできない。現場が勝つために必要な「秘伝のタレ」のつくり方とは?

第3回
技術伝承の要諦は、ベテラン技術者の暗黙知となっているノウハウを棚卸し、ゲンバで形式知化していくことだ。それを実現すると、ゲンバは驚くほど強くなる。「神の領域」を可視化し見積回答期間を8割短縮した現場の事例を紹介しよう。

第2回
中国進出企業の中には、中国人社員が言う通りに動かないため、ゲンバがちっとも立ち上がらないという声がある。それは、本当に彼らのせいだろうか。ゲンバの声を聞くと、外国人どころか日本人にさえ技術伝承が行われていない現状がある。
