相続によって相続税が発生した場合は、申告期限(相続開始のあったことを知った日から10カ月以内)までに相続税を現金で納めなければならないが、延納、物納という特例もある。

 税金の支払いは現金であることが大原則。当然、相続税も申告期限までに現金で一括納付しなければならない。

 もし申告期限までに納められなかった場合は、いわゆる利息に当たる延滞税がかかってくる。この延滞税が非常に高利だ。2014年中は、納付期限から2カ月を経過する日までは年率2・9%、それを過ぎれば年率9・2%になる。その上で、短期貸出約定平均金利に所定率を加味した金利の低い方の金利が採用されるが、いずれにしても、低金利時代とは思えぬ高利だ。

 だが、相続した財産は現預金が少なく土地が多かったりして申告期限内に一括納付ができない場合がある。そんなときに相続税を分割して支払うのが「延納制度」だ。

 延納を行うには、決められた要件を全て満たしていなければならない。分割支払いは、1年に1回で、延納の期間は5年から最長20年まで。

 期間は、換価処分がしにくい財産(土地、借地権、事業用の減価償却資産、立木、特定同族会社の株式など)の相続した財産に対する割合で決められている。

 また、延納には利子税がかかり、その率も相続額に占める不動産価額の割合に連動している。

 現金もなく延納もできない場合は、不動産や有価証券などの特定の相続財産で納付する「物納」がある。

 物納も、認められるには全ての要件を満たさなければならない。06年の税制改正で物納の基準が明確化され、不動産では担保権が設定されていたり、権利の帰属をめぐって争いがある不動産は「管理処分不適格財産」とされて物納できない。

 しかも、物納できる財産には優先順位が決められている。国債や地方債が第1順位、社債や株式が第2順位などとなっている。