まず、外国人観光客が無料で利用できるのは、KDDIとその子会社であるWi2が提供している全国約24万ヵ所のWi-Fiスポットだ。言い換えれば、これは「au Wi-Fi SPOT」と同じアクセスポイント数となる。もっとも、そのことに関しては“但し書き”を添える必要があるので、改めて後述したい。

 訪日外国人旅行者向けの無料Wi-Fiサービスは、先行して日本航空とNTT東日本がすでに提供中だ。また、有料(1週間900円、3週間1300円・税別)ではあるが、NTTドコモも「docomo Wi-Fi for visitor」というサービスを提供している。

 これらの既存サービスについて、大塚社長はいくつか課題があると語った。

「既存のサービスは、どこでWi-Fiが使えて、どのアクセスポイントに接続すればいいのかがわかりにくい。また、初期設定も容易ではありませんでした。しかも、接続の回数や時間に制限がありますし、別のエリアに移動すれば、またもや設定し直さなければなりません」

 これらの不便を解消すべく、今回のプロジェクトのために開発されたのが「TRAVEL JAPAN Wi-Fi」アプリである。AndroidとiOSのどちらにも対応しており、英語はもちろん、中国語、韓国語、タイ語をサポートしている。このアプリをダウンロードしておけば、全国約24万ヵ所のWi-Fiスポットに容易く接続できるわけだ。

 加えて、接続中のスポットの近隣情報も配信される一方、地図アプリとの連携で気になった施設まで誘導してもらえるナビゲーション機能も利用できる。

全てのアクセスポイントで使うには
プレミアコードが必要

 ただし、まったく難点が見当たらないわけでもない。

 この辺りで、先程は言葉を濁していた“但し書き”について言及しておこう。同アプリをダウンロードすれば、即座にすべてのWi-Fiスポットを利用できるようになるわけではないのだ。来日直後、最初にアクセスできるのは全国約24万ヵ所の一部に相当する「Wi2ベーシックエリア」に限定されている。

「スターバックスや空港発着のリムジンバスをはじめ、相応な数に上る」と大塚代表取締役社長は説明するものの、その数は非公表である。では、どのようなステップを踏めば、アクセス制限が解除されるのか?

 同プロジェクトはWi2が単独で進めているものではなく、17の企業・自治体がパートナーとして参加していることは前述したとおりだ。

 具体的には、アクセンチュア、沖縄観光コンベンションビューロー、小田急電鉄、キャナルシティ博多、京都文化交流コンベンションビューロー、KDDI・沖縄セルラー電話、神戸市、ジェーシービー、東京都交通局、ドン・キホーテ、日本航空、パナソニック、インフォメーションシステムズ、ぴあ、ビックカメラ、マツモトキヨシである。外国人旅行者はこれらの企業・自治体のサイトや店舗、施設などを利用し、そこで入手できる「プレミアムコード」をアプリに登録して初めて、すべてのスポットを利用可能となる。

 つまり、パートナー企業・自治体への集客に結びつけるという狙いがあるわけである。しかも、すんなりと無償で「プレミアムコード」を入手できるわけでもない。各々で条件は異なっているが、日本までの航空券を購入することが前提となっている日本航空のように、なかなか低いとは言いがたいハードルが設けられているケースもある。