初詣人出ベスト3の“常連”成田山新勝寺。毎年300万人を超える参拝客が訪れる

年明けの三が日に神社や寺院に参拝し、新たな一年間の無事と平安を願う「初詣」は、我が国でも最大の国民的行事だ。例年、全国で延べ9000万人以上もの人々が繰り出すとされるが、参拝客の増減は経済動向とどんな関係性にあるのだろうか。統計データを元に、初詣のにぎわいと景気の相関関係を探ってみた。(ライター 呉 琢磨)

 2014年もいよいよ歳の瀬を迎えた。アベノミクスの恩恵で大幅な景気回復が期待された一年だったが、消費税増税のあおりを受けてGDPは4~6月、7~9月期と2期連続のマイナス成長を記録し、多くの国民が落胆したのは記憶に新しい。

 その一方で、最新の景気動向指数は10月、11月と持ち直し2ヵ月連続の改善を示すなど、ポジティブな要因もなくはない。果たして来年こそ景気回復はなるのか、それとも底の見えない低迷が続くのか、依然として予断を許さない局面が続いたまま新年に突入する。

なんと9000万人以上が初詣に

 さて、不安なときこそ人は「神頼み」をしたくなるものだが、初詣に訪れる人出数は景気動向にどのような影響を受けるのか。正月三が日における神社・仏閣の人出は過去20年に渡ってゆるやかに増え続けており、09年には延べ9939万人に達している。日本の総人口を1億2000人と考えれば、老若男女を問わず国民4人のうち3人は初詣に出かける計算になる。

 全国の神社・仏閣の三が日の人出数をランキング(※)にすると、まず1位は「明治神宮」(東京)で、14年の人出数は316万人を記録している。そして2位には「成田山新勝寺」(千葉/305万人)が続き、3位に「川崎大師 平間寺」(神奈川/300万人)が並ぶ。この上位ベスト3の顔ぶれは20年間ほぼ変わっていない。それに次ぐ4~5位には、「伏見稲荷大社」(京都)や「浅草寺」(東京)、「鶴岡八幡宮」(神奈川)、「熱田神宮」(愛知)などがその年ごとに入れ替わりでランクインするという具合だ。

※本文中で扱っている「初詣の人出数」の統計データは、2009年までは警察庁の発表を出典としている。ただし、2010年からは警察庁がデータの公開を差し控えるようになったため、以降は毎年、三井住友アセットマネジメント理事・チーフエコノミストの宅森昭吉氏が電話で直接ヒヤリングした数字を元にしている。