肯定的な面から述べると、長年住宅ローンを返済する人には、仮にそれが損な条件で買った住宅であるとしても、結果的に強制的な貯蓄を長期間実行する強みがある。仮に、購入した不動産の価格下落によって、結果的に利回りがマイナスの貯蓄になるとしても、同時期にローン返済額相当の金額を貯蓄をせずにすっかり使ってしまった「キリギリス的人生」の人に較べると、不動産が資産として残る分、老後はより安心だ。

 一方、これから人口が減って空き家が増えることなどを考えると、老後に住む場所がないといったことは、あまり考える必要がなさそうだし、所有する「資産」は不動産でなくともいい。

 やはり、不動産の購入価格が適価(以下)になるのか否かが重要だ。

 付け加えると、4番目の理由である(購入する方が)「賃貸よりもいい家に住めるから」というのは、お金をかけるとその通りの場合が多いし、自分の所有する不動産だとより自由に使える面が確かにある。家族向けの良い賃貸物件の供給が少ないことは、日本の不動産市場の欠点だ。

 最後に、5番目に挙がっている「家を買ってこそ1人前だと思うから」という理由は、無理をして家を買う判断の歪みをもたらしそうで、あまり感心できない。

「得」であることは間違いないが……
低金利の住宅ローンをどう考えるか?

 住宅ローン金利は、最低水準を更新中だ。日銀が国債市場を「制圧」していることに原油価格下落などの物価抑制要因も加わって、長期金利(10年国債の流通利回り)が史上最低水準を更新しており、住宅ローン金利はさらに下落する公算が大きい。

 目下の超低金利で住宅ローンを借りて不動産を購入することについて、どう考えたらいいだろうか。

 将来の家賃が一定で、かつ投資家が不動産に要求するリスクプレミアム(不動産のリスクに見合う収益率の上乗せ分)が一定だとするなら、住宅ローン金利の低下は、これを利用する住宅購入者にとって「得」であることは間違いない。

 価格比較サイトで現在の住宅ローン金利を見ると、変動金利なら年率0.5~0.7%くらい、長期固定(最長35年)なら年率1.5%~2.0%くらいの金利を提示している金融機関が多い。随分下がったものだ。