景気回復などで家を買うなら今!という人たちが急増中。でも、住宅ローンを組んで家を購入するというのは「大きな借金をする」ということ。長い期間にわたって返済を続けなければなりません。
そこで、今回の連載では、住宅ローンの専門家である深田晶恵さんが「こんな理由で家を買うと後悔するベスト4」を紹介、説明していただきました。
第1回の「景気回復で給与が上がりそうだから」、第2回の「消費税が上がるから」、第3回の「結婚したから」「子どもが生まれるから」に続いて、最終回は「家賃を払い続けるのはもったいないから」という理由で家を買うこと。よく耳にする理由ですが、それを理由に家を買うのがなぜダメなのか、詳しくご紹介します!

お金について真面目に考えるあまり、
「家賃がもったいない」と家を買う

深田晶恵(ふかた あきえ)
ファイナンシャルプランナー(CFP)、(株)生活設計塾クルー取締役。1967年、北海道生まれ。外資系電機メーカーを退職後、96年にFPに転身。日本経済新聞、日経WOMAN、日経ビジネスAssocie等でマネーコラムを連載中。国土交通省「住宅ローン商品改善ワーキングチーム」および「消費者保護のための住宅ローンに係る情報提供検討会」、住宅金融普及協会「住宅ローンアドバイザー運営委員会」委員を歴任。こうした委員会で金融機関と不動産事業者に住宅ローンのリスクの説明を義務づけるガイドライン作りを提唱するのが目下のライフワーク。主な著書に『30代で知っておきたい「お金」の習慣』『「投資で失敗したくない」と思ったら、まず読む本』他多数。
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生活設計塾クルー
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 今30代前後の人は、いわゆる“バブル世代”と比べるとお金に関して堅実な傾向があります。私はFPとして16年以上に渡り家計の相談に乗ってきましたが、お金のことについてよく勉強し、夫婦で家計についてしっかり情報共有している人も多く、感心させられることもしばしば。ただし、こうした“しっかり者”の人は、住宅購入で落とし穴にはまってしまいがちなのも確かです。というのも、お金について真面目に考える人は、「賃貸で家賃を払うのがもったいないから」という理由でマイホーム購入に踏み切ってしまうケースが多いのです。

 特に、今のように住宅ローン金利が低い時は注意が必要と言えます。たとえば、「4000万円のマンションが頭金ゼロ、毎月返済額11万円台で買える」と聞いたら、みなさんはどう思うでしょうか。「今の家賃なみの返済額で4000万円のマンションが買えるのか。家賃を払い続けるより得だな」などと考える人が少なくないのではないかと思います。

 実際、私が家計相談に乗っていると、「毎月、家賃なみの返済額ですむなら大丈夫だろう」という考えで住宅ローンを組もうとする人があとをたちません。

 しかし、この例で毎月返済額が11万円台でいいというのは「35年返済、変動金利0.875%」という条件のもとでの話です。

 変動金利型ローンというのは、名前の通り、半年ごとに金利が見直されるローンのこと。金利上昇リスクを借り手が負う分だけ当初の金利は低くなりますが、「0.875%」という金利が約束されているのはたった半年だけです。つまり、金利が上昇すれば利息負担が増し、返済額がアップする恐れがあるということです。

 将来の金利動向を楽観的に考えても、「4000万円を35年の変動金利型ローンで毎月11万円台の返済」というのは、リスクが高いプランだと思います。仮に35歳でローンを組み、11年目以降の金利を2.5%と仮定すると、60歳時点でローンが約1400万円も残ってしまうのです。