その場で販売できない

 体感型トイレは、男性用が四つ、女性用が四つ、授乳室が一つ、多目的トイレが一つの計10のブースで構成されている。自慢の新機能「においきれい」(臭いの主成分であるアンモニアを取り込んで除菌水フィルターで捕集。使用しない時間帯に洗浄・除菌する)など、世界最先端の技術が投入される。

 今回、TOTOは、各ブースの設計を売れっ子の外国人チームに依頼した。かつて、自前で欧州の見本市に“枯山水(かれさんすい)”をテーマにした日本庭園を載せたトイレや、竹林を配したトイレなどを出品したが、受けなかった経験を持つ。その反省から、外国人による外国人のための空間づくりにこだわり抜いた。

 ただし、“課題”もある。トイレを使ってみて気に入った外国人が「同じものが欲しい」と言いだした場合に、その場で販売することができないのだ。この点は、「社内で検討中」(TOTO)とのことだが、おそらく外国人は気に入ればすぐに欲しがる可能性が高い。

 最新型のトイレは、上下一体型のシステム商品であるため売り切りには向かない。外国では個室の中にコンセントが存在せず、電圧も異なるために設備工事が必要になるなど、“できない理由”は多々ある。だが、これらの業界慣行を乗り越えるくらいでなければ、“新名所”の一つとして化けることは難しいかもしれない。

(「週刊ダイヤモンド」編集部 池冨 仁)