>>台頭する中国の“謎”を解く鍵 習近平にまつわる8つの特徴(上)から続く

重圧を重圧と受け取らない
習近平の無神経さと大胆さ

(4)コントロール欲が強い

 ワシントンDCの政策論議のなかで、習近平政権の動向を語る際にしばしば使われる表現が「Xi has consolidated power」、即ち、「習近平が権力基盤を固めている」という認識である。なかには、「習近平は中華人民共和国建国以来最強の皇帝だ。その行使できる権力は、毛沢東よりも、トウ小平(トウの文字は「登」におおざと)よりも大きく、強い」(某シンクタンクの中国専門家)という見方すら浮上している。

 本連載でも検証してきたが、改革事業の動向や反腐敗闘争を通じての政敵打倒、権力掌握状況からして、習近平が一定程度「権力基盤を固めている」という現状を、否定する根拠を見出すことは難しいだろう。

 権力を掌握するためには、情報力や行動力、人脈力や判断力など、あらゆる“力”が求められるのだろうが、機能的な要素として重要だと思われるのが、習近平が「改革領導小組」に代表されるように、改革や政策をトップダウンで、ダイナミックに推し進めていくためのメカニズム構築に積極的であるというファクトだ。(第21回コラム参照:「改革小組」始動で見え始めた習近平の本気度 最重要課題の「公正」はどこまで進むのか、2014年1月28日)

 習近平は8つのポジションでトップの地位を務めてきた。

・ 中国共産党総書記
・ 中華人民共和国国家主席
・ 中央軍事委員会主席
・ 改革領導小組組長
・ 国家安全委員会委員長
・ ネット安全・情報化小組組長
・ 国防・軍隊改革小組組長
・ 中央財経領導小組組長

 中央から地方、政治から経済、政治局から国務院、党から軍……、誰が指導的な立場にあり、最終的に誰による統率によって物事が決まり、進んでいくのかを可視化する作業に習近平は長けている。そして、その背後に潜むのが、習近平が内心に強く抱くコントロール欲、即ち、すべては自分の力によってコントロールする、そのためなら、あらゆる手段を行使するという欲望であるように私には思われる。

(5)最後は自分で決める

 1つ目の「人の話をよく聞く」でも触れたが、習近平には、安易に自分の意見を語らず、人の意見を傾聴することでその場(例えば政治局会議)の空気をじわりじわりと支配し、各人が充分に意見を述べ、皆が出すべき意見は出したと感じたところで、「机をおもいっきり叩くように決断し、これから何をすべきかを指示する。こうと決めたからには決して同僚たちに口を挟ませない」(習近平をよく知る太子党関係者)。そういう頑固さも持っているようだ。