この時点で現預金残高は、たったの46億円(14年3月末比で25億円減少)。無借金経営で銀行と親密につき合ってこなかったスカイマークは、資金繰りに苦しむことになる。フライトシュミレーターを売るなど、なけなしの資産を現金化して食いつなぐ一方、JALやANAにコードシェアを持ちかけ、それを材料に投資ファンドから資金を引き出そうと懸命に交渉を続けたものの、業績悪化のスピードは早く、12月の全路線平均搭乗率は5割台にまで落ち込んだ。業績悪化によるブランドイメージダウンが響いたものと思われる。

 結局、手元資金の枯渇が、スカイマークの破綻の決定打となった。今後は、支援に名乗りを上げた投資ファンド・インテグラルによるつなぎ融資で当面をしのぎつつ、スポンサー企業を選定して再生の道を模索することになる。

大口債権者・エアバスの意向がカギ
悲願の“第三極”は守れるのか?

 監督官庁である国土交通省に加え、スカイマーク自身が破綻ぎりぎりまでこだわったのは、独立経営の“空の第三極”。つまり、大手であるANA、JALからは独立した、第三のエアラインとしての存在意義だ。

 ピーチやバニラエアだけでなく、スターフライヤーやエアドゥ、ソラシドエアといったエアラインは、ANAと資本関係がある。一方のJALはジェットスターを傘下に持つ。つまり、日本のエアラインで大手の息がかかっておらず、完全に独立しているのは、実はスカイマークだけなのだ。

 ANA、JALとは共同運行をし、資金は投資ファンドから。そう計画をしていたスカイマークだが、ここで大きな壁となったのが、エアバスの違約金問題だった。具体的な金額は何も決まっていないものの、何しろ、最大840億円もの違約金を請求されるリスクのある会社。簡単にカネを出すことは難しかったと見られる。

 民事再生申し立て後の記者会見でも、井出隆司会長は繰り返し、第三極維持にこだわる発言を繰り返したが、それが叶うかどうかは不透明だ。

 というのも、金額が確定していないものの、エアバスが大口債権者として名を連ねるのは確実。金額次第では、最大の債権者となる可能性もある。つまり、これから策定していく再建計画やスポンサー選定の過程で、エアバスの発言はかなり大きなものになるということだ。

「スポンサーがANAかJALになれば、エアバスは違約金の大幅減額にも応じるのではないか」。業界では、こんな憶測も流れている。大手エアラインの“バイイングパワー”がモノを言うわけだ。ところが、JALは国の支援で再生したため、16年度までは新規投資を制限されている。そのため必然的に、ANAに白羽の矢が立つ可能性が高いものと見られる。

 しかし、前述したようにスカイマークや国交省の願いは独立した第三極の維持。スポンサー探しは関係者の思惑が交錯した難しいものとなりそうだ。

 エアラインの経営破綻といえば、会社更生法を申し立ててV字回復、さらに再上場を果たしたJALの成功のイメージが強いが、法的整理をすれば必ず再生するというほど甘いものではない。むしろ、申し立て後に発生する、債権者の意見調整やスポンサー企業選定、再建計画の策定などの作業の成否にかかっている。民事再生法適用申請で、とりあえず資金枯渇による運行停止という最悪の事態は免れたが、正念場は今後も続く。

(ダイヤモンド・オンライン編集部 津本朋子)