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【特集・クラウドと、どう向き合うか(1)】

従来システムとの混在環境で最適化を狙う
――NECのクラウド戦略

松岡 功 [ITジャーナリスト]
【第78回】 2015年2月9日
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 機能としての特徴は、統一インタフェースを通じて2つのサービスに対するリソース調達・管理をシンプルに行える「プロビジョニング機能」と、外部の複数のクラウドや個別のシステムもまとめて効率的に管理できる「統合運用管理機能」によって、複雑な運用管理にも対応可能なことだ。

 しかもこれらの操作については、「セルフサービスポータル」を介してユーザー自身でも行えることから、ビジネス環境の変化に柔軟かつ迅速に対応できるとしている。図に示したのがNEC Cloud IaaSの全体像である。

サーバとクラウドサービスの
パッケージ商品も展開

 NECはさらに、このNEC Cloud IaaSを生かしたユニークなソリューションを2014年12月に提供し始めた。NEC Cloud IaaSのサービスと、x86サーバでは国内シェアトップの「Express5800シリーズ」をパッケージ化した「Express5800/CloudModel」がそれだ。

 Express5800/CloudModelは、NEC Cloud IaaSの3年間の利用権をパッケージ化し、CPUやメモリ、HDD、OSを組み合わせた50種類のラインアップから選択可能にしたものである。サービス利用開始時の初期設定や移行作業などが容易で、中小規模システムのクラウド導入・運用に適したパッケージ商品となっている。

 NECがExpress5800/CloudModelを打ち出した背景には、今後の市場動向をにらんだ上で、「クラウド化は急速に進むのではなく、従来型のITシステムとクラウド利用の混在環境が今後も続く」(石井氏)といった“読み”がある。

 その根拠となっているのは、「企業のICT投資におけるクラウド比率は2016年~2017年に1割を超えると推定される」というIDC Japanの調査結果だ。ただ、「クラウド比率はこれから1割に達するところだが、着実に成長する市場であることは間違いない」というのが、石井氏の現状認識だ。

 また、同氏はIDCの企業ユーザー調査から「システムごとに積極的にクラウドへ移行したい業務と、従来の個別システムに適した業務が存在する」との回答率が高かったことを挙げ、「今後はシステムごとの特性に応じた使い分けが求められる」とも語った。

 そうした状況を踏まえ、同氏はNECにおける今後のICTシステムの方向性について、「外部保有に適した業務システムから順次クラウドを活用し、オンプレミス(自社運用)環境に残る業務とのシステム間連携によって新ビジネスを創出していきたい」と説明。「今後はオンプレミス環境とクラウド環境のハイブリッド利用が主流になっていく」との見方を示した。その意味では、NEC Cloud IaaSはハイブリッド利用に適したクラウド基盤ともいえる。

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松岡 功
[ITジャーナリスト]

まつおか・いさお ITジャーナリストとして複数のメディアにコラムや解説記事を執筆中。1957年生まれ、大阪府出身。電波新聞社、日刊工業新聞社、コンピュータ・ニュース社(現BCN)などで記者およびIT系月刊誌の編集長を歴任後、フリーに。主な著書は『サン・マイクロシステムズの戦略』(日刊工業新聞社、共著)、『新企業集団・NECグループ』(日本実業出版社)、『NTTドコモ リアルタイム・マネジメントへの挑戦』(日刊工業新聞社、共著)など。

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