健康維持、景気浮揚のための
打つべき手は別にある

 日本の実質的な休暇日数は、決して少なくない。にもかかわらず、有給休暇の消化率のみに焦点があてられ、それを義務化するところまで議論が進んでいることに、私は違和感を感じざるを得ない。

 国際会計基準(IFRS)では、未消化分の有給休暇が企業の負債となるため、費用を追加計上することになる。これを圧縮するための有給休暇の消化率を高めたいという原動力が働く。

 しかし、周知のとおり、わが国では、いわゆる有給休暇残日数の買い取りによる企業から社員への支払いをしていないケースが多いので、わが国の実体にそぐわない国際会計基準に従わざるを得ない状況が、消化率向上に水を差している。

 しかし、社員の健康維持ということであれば、休日出勤時の振替休日や代休の取得を徹底することや、深夜残業やサービス残業をなくすことにフォーカスすべきではないか。

 また、最大の問題は、わが国の休暇の構造が、土日と、祝祭日と、夏季休暇と年末年始休暇といった、オフィスクローズを伴いがちの一斉の言わば強制的な休暇から構成されているということだ。

 加えて唯一、社員に取得の裁量を付与していた有給休暇までもが、一部日数とはいえ義務化される方向にある。