「贈るなんて失礼千万」だった干物を
30年前、ギフト化に成功!

5000円(店頭価格 箱代250円別途)のギフトセット。干物に加えて、めかぶやしらすなど充実した詰め合わせ

 サスニンベンでは、30年以上前から店舗販売だけでなく、通信販売をスタート。そして当時ではまだ珍しかった「干物のギフト化」をいち早く進めていた。提案したのは、奥さまの登久子さん。子どものころから魚に囲まれてきた威志さんとはうって変わって、東京育ちの登久子さんは「魚と無縁」。それどころか「魚は嫌いだったの(笑)。しかも、ごはんよりパン派。干物とも無縁でした」。

 魚を扱う家にお嫁に来て、食事はもちろん魚ばかり。「サメやらマンボウまで出てくるんですよ。魚なんてさばいたこともありません。なのに、舅にシンクいっぱい、どっさり魚を放り込まれて『さばいてみなさい』と言われたときは、涙が出そうでした」と思い出すだけでも泣きそうな顔をする登久子さんだが、次第に魚との距離を縮め、美味しさに開眼。

「主婦としては、ただ焼けばいいだけの干物は家庭にあると、とても便利です。そんなときに美味しい干物があれば喜ばれるんじゃないかしらと思って」

 しかし、それを聞いた威志さんは「とんでもない!」と驚いた。当時、干物といえば、地元では、買うものではなくて「もらうもの」。そんなものを贈るなんて「失礼千万」という概念だったのだ。

「そのころ、うちでは新巻鮭のギフト販売もはじめていましたから、干物だって大丈夫!」という登久子さんの言葉におされてはじめた、ギフト用干物は人気を呼んだ。

「美味しいとリピーターが増え、なじみになってくれるお客さんが増えました」と威志さん。

「もう何十年来のお客さまもいらっしゃいます。こんなに毎年干物を贈るんじゃあ、相手も飽きちゃうんじゃないかと思いますけど、『相手から指名されるので』と必ずオーダーしてくださるのは本当にありがたいですね。『5000円でおまかせで選んでください』というお客さんも多いです」

 店舗での販売だけでなく、日本各地へ「ギフト干物」を確立させていったサスニンベン。しかし、順風満帆のお店は突然、大打撃を受けることになる。2011年3月11日。東日本大震災は那珂湊にも甚大な被害を与えた。店舗、自宅が全壊してしまったのだ。

 その後、どう苦難を乗り越えて現在のおしゃれ干物屋へと発展させていったのか。劇的すぎるビフォー&アフターは次回にて。乞うご期待!

<取材にご協力いただいた方>
■サスニンベン
http://www.sasuninben.info/