スペインリーグ監督時代の八百長疑惑が告発されたことを受けて、アギーレ日本代表監督が解任されたのが2月3日。それから2週間が経った。
メディアでは後任候補の名前が次々とあがり、「〇〇からは断られた」という報道も飛び交っている。ただ、この手の話は鵜呑みにしない方がいいだろう。まず後任候補。サッカーファンには個々に手腕を認めている監督がいて「あの人が代表監督になったらいいな」という思いがある。後任候補名をあげるのは、その願望を満たす話題づくりの側面があるからだ。また、「断られた」という話も、代理人が担当する監督の価値を上げるために出す、根も葉もない情報が元になっていたりする。断る以前に監督のオファーさえ出していないケースも多いのだ。
後任選びが難航しているように感じるのは、時期が悪いからだろう。世界のサッカーをリードしているのは欧州であり、手腕が評価されている監督はドイツ、スペイン、イングランド、イタリア、オランダなどのトップリーグに集まっている。各国のリーグ戦は後半戦の大事な時期でありオファーを受けられない状態にある。今、フリーの立場にあるのは、指導者としてさほど評価されていない人ということになってしまうのだ。
だったら日本人監督でいいじゃないか、という声が出るのも当然だ。岡田武史氏が代表監督を務めた2006年W杯ではグループリーグを勝ち抜き、ベスト16になった。その後任で期待されたザッケローニ氏よりも良い成績を収めたわけだし、西野朗氏、長谷川健太氏(ガンバ大阪)などJリーグで実績を残した指導者もいる。最初から外国人と決めつけないで、その選択肢も残しておくべきだろう。
ただ、協会には世界と戦うには、レベルの高い欧州のサッカーを知っている人材に任せたいという意向があるようだ。協会にも欧州の試合を丹念にチェックし、監督の手腕を分析している担当者がいる。これまでメディアに名前があがっていない人物が後任監督として発表される可能性もある。
日本代表のトップは好待遇なほう
一流監督は“苦労人”が多い
ところで日本協会が外国人監督にオファーを出す時に提示する年俸はいくらぐらいなのだろう。推定ではあるが、昨年まで指揮をとったザッケローニ氏とアギーレ氏はともに180万ユーロ(約2億4000万円)で契約していたといわれている。これまでの実績にもよるが、新監督候補にも同程度の提示はしているはずだ。