トヨタの特許公開のその後
担当部長氏に公開質問

 次に、トヨタの燃料電池車・特許の無償公開について触れたい。

 今回の「水素先端世界フォーラム2015」のオープニング講演は、トヨタの「Fuel Cell Vehicle (FCV) Development and Initial Market Creation」(筆者訳:燃料電池車の開発と初期市場の構築)だった。講演者は同社技術統括部 担当部長の河合大洋氏である。

 この講演の後、会場からの質疑応答の時間があった。

 筆者は河合氏に対して「特許についてお聞きしたい。2015年1月にラスベガスのCES(Consumer Electronics Show)で燃料電池車に関する5680件の特許を無償公開すると発表している。私はその発表の場にもいた。今後、九州大学での産学官連携を含めて、特許に関してどのように進めていくのか」と聞いた。

 これに対して河合氏は次のように回答した。

「(本件は)弊社が単独で持っている特許についてだ。水素インフラに係る特許については期限を切らずに無償提供する。(車両に関する特許では)自動車会社に対して2020年という期限を切っているが、それまでの間、他の自動車メーカーと(個別に)契約を結び、お互いに特許を自由に使えると、発表した。

 (その後)世界中から様々な問い合わせがきている。我々としては最初の数年間は競争よりも協調して、より多くのメンバーで燃料電池車、水素インフラ、また燃料電池を使ったバスやフォークリフトを含めた機器を(世の中に)出していくことで、多くの理解を得て、水素社会に一歩でも早く近づいていけると考えている。(現在)九州大学とトヨタはハイドロジーニアスで研究開発している」

 ハイドロジーニアスとは、九州大学の水素材料先端科学研究センター(2007年10月開始)の略称だ。同大ではこれに加えて、次世代燃料電池産学連携研究センター(略称:ネクストFC/2012年11月開始)及びカーボンニュートラルエネルギー国際研究所(略称:アイスナー/2012年11月開始)で燃料電池の研究を行なっている。