原油価格が急落し、下方修正を余儀なくされた。だが、本当のヤマ場は4月から始まる来期になりそう。というのも原油価格の影響は最大6カ月遅れという遅効性があるのだ。
「あの案件は危ない」と、商社関係者の間で流れていた三井物産のシェールオイル・ガス事業。その観測は的中し大きな減損損失を計上した。
三井物産は2月4日に発表した2015年3月期第3四半期決算において、その米国イーグルフォード案件で390億円の減損を計上、通期業績見通しの下方修正を余儀なくされた。当初は3800億円としていた当期利益を600億円減額して3200億円としたのである。前期(14年3月期)実績との比較では、300億円の減益になる。
原油価格急落に直面し、「まさかここまで下がるとは思っていなかった」と、大手商社の幹部は頭を抱える。
昨年の夏前までは1バレル100ドルを超えていたWTI先物価格は12月から急降下し、今年1月には45ドルを割り込むなど半値以下にまで落ち込んだ。
背景には幾つかの要因が挙げられる。
米国の金融緩和の縮小によってファンドマネーが逃げ出したことに加え、需給の緩みがある。需要は中国の経済成長減速などで伸びが期待できないにもかかわらず、供給は米国のシェール革命で増えているのに、産油国12カ国が加盟する石油輸出国機構(OPEC)は減産しない方針を固めたからだ。
「当面は、原油価格の急反転はなさそう」と関係者は肩を落とす。
こうした状況が、関連企業の業績を直撃しないわけがない。油田やシェール開発の権益を持つ大手商社が1000億円級の大型損失を相次いで出した。
例えば、15年3月期に住友商事は2400億円、丸紅は1700億円の減損を計上することになった。そうした中で最も注目されていたのが三井物産である。大手商社の中でも特にエネルギー事業のウエートが大きいからだ。