>>(上)より続く
実家の片づけは親孝行の新しい形
コミュニケーションを図るよい機会
親が生きている間に片づけを進めるのと並行して、財産(貴重品や重要なもの)がどこに保管されているか、日頃から聞いて把握しておくことも必要だ。親が亡くなってから、どこに何があるかわからない状態で片づけをして、結果的にそれらを紛失してしまったり、片づけ業者が気づかないまま持って行ったりすると、あなたにとって大きな損失になる。
「貴重品・重要品の情報や保管場所は、事前に親子で共有できていないと意味がありません。とはいえ、いきなり財産の話をしても信頼されないので、片づけ作業を通してさりげなく聞くのがポイント。災害に遭ったときにどれを持ち出せばいいのか、これからの住まいをどうしたいかを聞くなどして、親とのコミュニケーションや信頼関係を大事にしながら、財産の話につなげていきましょう」(渡部氏)
手軽にできて片づけをしやすくするためのツールが、「ライフメモ」だ。『プロが教える 実家の片づけ』でも詳しく説明されているが、ライフメモとは過去の人生を振り返り、自身にとって節目となった年を書き出すほか、思い出や大切にしているものを書き加えるメモのこと。
記録することで、本当に大切なもの・残しておきたいものの優先順位をつけることができ、何を残し、何を片づけるべきか、親自身が気づくきっかけにもなります。親の知らない一面を知ることで、将来親が介護やケアを受けるときや相続時にも、情報として大いに役立つ。
「実家の片づけは新しい親孝行の形で、コミュニケーションを図ることが重要です。親子で一緒に記録してみては」と、渡部さんは推奨している。
前出の内藤氏も同様に、親世代とのコミュニケーションを大事にしながら片づけをすることの重要性を指摘する。