実家で独り暮らしをしている親がある日突然亡くなったら、あなたはどうするか――。葬儀が終わり、とりあえずの順序をつけ、我に返ったあなたの目の前に立ちはだかるのは、親が残した膨大な荷物の山。「実家の片づけ」という、戦いの日々が幕を開ける。いつか訪れる「その日」に備え、ビジネスパーソン読者が混乱して仕事や私生活を犠牲にすることがなきよう、日頃から最低限心得ておきたい「5分でわかる実家の片づけのノウハウ」を紹介しよう。(取材・文/池田園子、編集協力/プレスラボ)

「独り暮らしのおやじが死んだ!」
1本の電話で始まった戦争のような日々

ある日突然親が亡くなったら、実家の片づけに奔走するあなたは、重要なモノを見つけられるだろうか

「ある日会社で働いていると携帯が鳴り、出てみたら弟でした。弟と話すのは数ヵ月ぶり。何かと思ったら、『実家で独り暮らしをしていた父が急死した』というのです。一瞬、頭の中が真っ白になりました。大急ぎで上司に休暇願いを出し、自宅に戻って喪服をバッグに詰め込み、新幹線に飛び乗り実家へと急ぎました。葬式が終わってからの半年間というもの、実家の後片づけのため、土日の度に東京と地方を往復する状況が続きました」

 都内の中堅商社で働く新潟県出身のAさん(42歳)は、3年前に親が急逝した後の「実家の片づけ」を振り返り、苦笑いをする。Aさんにとって、当時は「まさに戦争のような混乱状態だった」という。

 少子高齢化が急速に進む日本。子どもが都会で働き、親が郊外・地方の実家に取り残されるケースが、全国で増えている。親がある日突然亡くなったとき、実家の片づけをどうするか――。都会で忙しく働く地方出身のビジネスパーソンにとって、それは想像を絶する大変な作業だ。

 親の実家を大事な資産として引き継ぎ、そこに住み、子どもに引き継ぐというトレンドは、すでに薄れつつある。都会で働く子どもが、親の死をきっかけに地方にUターンするケースは稀だ。親が亡くなった後に無人の実家を何年も放置していると、荒れ果ててお化け屋敷のようになってしまうだろう。

 とはいえ、地方出身者の場合、都会と地方の行き来をしながらの家の片づけには、時間を奪われるだけでなく、移動のための旅費・交通費といった金銭的コストが重くのしかかってくる。今や実家は「負の資産」とまで言われるようになった。

 そこで今回は、あなたにもいつか訪れる「その日」に備え、ビジネスパーソン読者が混乱して私生活や仕事を犠牲にすることがなきよう、日頃から最低限心得ておきたい「5分でわかる実家の片づけのノウハウ」を紹介しよう。