「生きていてもしょうがない」という言葉は“暴力”と知る

奥田 小島さんの著書『解縛(げばく)』の内容は壮絶ですね。次男出産直後の33歳のときに不安障害と診断されて、その原因を、生い立ちを振り返りながら自己分析していく。

小島 不安障害に苦しんでいるときに「私が生きているとみんなの迷惑だ」と何度も夫に言いました。奥田さんの本の中に「生きていてもしょうがないという言動は暴力」という記述があったんですが、私は夫に対してかなり暴力的だったんだと気づきました。
 死んでしまおうと思って、マンションのベランダにあるエアコンの室外機の上にしゃがんでいたこともありました。夫は静かに話を聞いてくれ、部屋に連れ戻してくれたのですが……。

奥田 すごいところを通ってきましたね。

小島 一番ひどい時期をすぎたころ「慶子は変わったね。良かった、ほんとに死んじゃうかと思った」と夫がさめざめと泣いたことがあったんです。
 そのとき、ああ、彼はとても辛い思いをしていたんだとハッとしました。もちろん、苦しいときには「死にたい」という気持ちを吐露することも必要ですが、それが時として聞かされる人に対する暴力になることを知っていれば、もう少し夫の気持ちを想像することができたかもしれないと思います。
(後篇へ続く)