「イスラム国」に名指しされ、日本人がテロに巻き込まれるリスクが非常に高まっている。春休みを迎えて海外旅行に行く大学生も多いが、これまで以上に慎重な行き先選びや行動が求められる。(ダイヤモンド・オンライン編集部 津本朋子)
意外な地域でも要警戒
イスラム国に名指しされた日本人
「日本にとっての悪夢の始まりだ」――。2月1日、インターネットに投稿した後藤健二さん殺害動画の中で、はっきりと日本人をターゲットにすることを表明した「イスラム国(IS)」。ISの支配下にある地域が散在するシリアやイラク、テロが頻発するリビアといった国に旅行目的で行くのは論外として、こうした国・地域だけを避けていれば安全かと言えば、決してそうではない。
「イスラム国が日本人をターゲットにすると表明したことで、イスラム国関連だけでなく、世界中のテロリストたちが日本人を意識していると考えた方がいい」。国際テロリズムに詳しい板橋功・公共政策調査会研究室長は、こう話す。アルカイダ系や、コロンビアの共産主義系テロ組織「FARC(ファルク)」など、ISとは関係のないテロ組織も、日本人の存在を意識している可能性が高いというのだ。
特に、湯川遥菜さん、後藤健二さんが殺害されてから、まだ1ヵ月しか経っていない現在、日本人の抱えるリスクはこれまでになく高まっていると考えた方がいい。
また、IS関連に限ってみても、実は中東のみならず、アジア各国にも、ISに忠誠を誓っていたり、支持を表明している過激派組織が活動している国がいくつもあるのだ。米国のテロ情報分析会社・インテルセンターによると、こうした過激派は今年1月24日現在で29組織ある。シリアやイラクはもちろん、エジプトやリビア、スーダン、チュニジアといったアフリカにも広がっているほか、日本人が大勢訪れるインドネシアやフィリピン、インドにも存在する。