納得いかない2人は市公平委員会に「懲戒処分は不当」と訴えた。こうして始まった公平委員会の場で、市の担当職員が証人に立ち、徴税事務処理の内情を明らかにした。「議員の滞納について上司(課長)に督促や差し押さえなどの処分をやるべきだ、やらなければいけないと何度も進言したが、聞き入れてもらえなかった」「別の上司は自分に任せてくれ、自分の顔を立ててくれというだけで何もしなかった」などと証言した。

「頼むからしばらく様子を見てくれ」
担当職員の直言を抑え込んだ幹部職員

 また、現場の職員同士で激しいやりとりがあったことも明らかにされた。税務担当者が一向に改善されない滞納状況を問題視し、徴税担当者に「放置しているのはおかしいんじゃないですか」と迫り、口論になったという。徴税担当者は「ちゃんと俺は上の方には言っている。お前の言うことは確かにわかる。上の方にもちゃんと伝えているから、しばらく様子を見てくれ」となだめたという。それでも改善の兆しがなく、実務を担当する現場職員同士の険悪なやり取りがその後も繰り返されたという。

 さらには公平委員会の場で、こんな仰天話まで披露された。ある職員が「(当時の)総務部長から『議員の滞納は良くないことだと思いますか』と聞かれ、一瞬耳を疑った」と証言したのである。その職員は「『えっ、そう思わないんですか』というふうにすごく不思議な感覚がして、鮮明に覚えています」と、生々しい話を披露したのである。

 結局、職員2人に対する市の懲戒処分は不当とされ、取り消しとなった。2014年5月に菊池市長選と市議選がダブルで実施され、新市長が誕生した。議会にも新人議員が大量に生まれたが、依然として議員の税滞納疑惑がくすぶり続けていた。

 市民の厳しい視線に晒された市議会は2014年9月、各議員の納税証明書を自主的に提出することを決めた。その結果、2人の議員に過年度の滞納があったことが判明(他の2人のうち1人は市長選で落選。もう1人は市議選で落選)し、市側が偽りの答弁を重ねていたことが明らかになった。