無視できないリスクイベント
再下落も十分あり得る

 しかし、この見通しにはアップサイド、ダウンサイド両方のリスクがあることに注意が必要だ。

 2015年は人口動態的に需要の伸びの端境期に当たるため、外的なショックに対して、原油価格は下方に反応しやすくなる。

 具体的には、この2月も問題になったギリシャ問題をはじめとする欧州危機の拡大などがそれにあたる。今のところギリシャ問題はとりあえず先送りされているが、4月末までに詳細提出と予定されている改革案にギリシャとユーログループが合意しなければ、この支援延長も白紙に戻り、再び信用リスクの顕在化に晒されることになる。仮に合意しても6月末が支援延長の期限であり、このタイミングで市場が混乱する可能性は高い。

 ギリシャ問題が仮に穏当に解決できたとしても、ユーログループが何らかの譲歩を見せれば、その他の高債務国は黙っていないだろう。緊縮財政反対を訴える極左政党ポデモスが支持率を伸ばし年後半に選挙が予定されているスペインが、ギリシャと同様の立ち居振る舞いをした場合、経済規模からみてその影響はギリシャの比ではないだろう。最終的に救済合意するにせよ、いったん問題が持ち上がれば原油をはじめとするリスク資産価格にとってはマイナスに作用することになるだろう。

 同じ信用リスク系では、長らく言われ続けている中国の不動産・投資バブルの崩壊の顕在化も挙げられる。信用に関するリスクの顕在化は、他のリスクと違って即時に波及するため非常に厄介である。さらに、政治家の判断がトリガーになることも多い。時として政治家は経済合理性を無視した決断をすることがあるため、政治イベントからは目が離せない。

 また、今年後半と見られている米国の利上げで起こり得る、新興国経済の混乱も、将来の価格下落リスクを高めるものだ。

 今後の原油需要の増加は先進国ではなく、中国やインドネシア、インドをはじめとする新興国からくるのは明白であり、もし米国が利上げを拙速に行いこれらの国から資金が流出してしまえば、顕在化すると期待される潜在需要が顕在化しないことになる。2月のイエレン・FRB議長の議会証言ではこのリスクも意識し、慎重な言い回しに終始したことから、足元ではその可能性は低下していると考えているが、影響が小さくないため無視することはできない。