ホンダが6月に社長交代する。一連の品質問題からの立て直しに一区切りついたと判断したからか、耐えかねて辞任を決意したのか、はたまた「引責辞任」に追い込まれたのか──。突然の社長人事発表にさまざまな臆測が飛び交う中、7代目・伊東孝紳社長は、経営のたすきを8代目・八郷隆弘常務につなぐ。(週刊ダイヤモンド編集部 池田光史、泉 秀一、後藤直義)
突然の交代劇だった。「本日の取締役会にて、私は6月で社長を退任し、現在、常務執行役員で、4月に専務執行役員となる八郷を社長とする人事の内定を致しました」。
2月23日、ホンダが社長人事を発表した。伊東孝紳社長(61)が退任し、中国での生産を統括する八郷隆弘常務(55)が4月からの専務を経て、6月に新社長に昇格する予定だ。
2014年、新型「フィットハイブリッド」の度重なるリコールや、タカタ製エアバッグの不具合など品質問題に揺れたホンダ。昨年末、伊東社長は各メディアに対し、「このタイミングでの社長交代はあり得ない」「責任は放棄しない」などと続投の意思を表明していた。それだけに、今回の社長人事は、あまりにも唐突感があった。
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実は、そのわずか4日前の2月19日。伊東社長は、東京・青山本社で本誌の単独インタビューに応じていた。インタビューの最後に、本誌はズバリこう尋ねた。
「14年4月の各本部長人事で、若返りを図っていますね。一連の品質問題がなければ、フォーミュラワン(F1)復帰なども花道にして、次世代に経営を譲る予定だったのでは?」
いつもは素早く受け答えする伊東社長が、一瞬言葉に詰まり、なんとも言えない表情を浮かべてこう答えた。
「花道……。僕の?」
詳細は週刊ダイヤモンド3月7日号・特集2「ホンダ リコール危機の教訓」の中に、伊東社長の「最後の独白」を掲載しているので、そちらをご覧いただきたい。
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