関西国際空港と大阪国際空港(伊丹空港)の民間への運営権売却は安倍政権の成長戦略の行方を占う試金石ともされる。しかし、国土交通省が見せる不作為の数々に候補企業は興ざめし、1次入札は延期された。悪条件ばかりが並んで企業側には白けたムードが漂い、破談の可能性が現実視されている。
「先生、これは駆け引きなんです。関心を持っている企業はいるんです!」──。大阪・泉南の海にある関西国際空港と、都心に近い大阪国際空港(伊丹空港)の運営権を、合わせて2.2兆円で民間に売却するコンセッション(公共インフラの運営権を民間企業に売却し運営させる手法)の行方に暗雲が漂う中、国土交通省の担当者は有力政治家にこう弁明してみせた。
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ところが、入札参加資格を持つ企業の幹部は「われわれはずっと問題点を指摘してきたのに、国交省は解決に動かなかった」と冷ややか。「企業側を納得させる隠し玉は見えない。このまま破談になって、国交省担当者のクビがいっぱい飛んで終わるんじゃないの」と吐き捨てる。駆け引き以前の問題なのだ。
コンセッションの中でも関空はとりわけ規模が大きく、安倍晋三政権が掲げる成長戦略の目玉事業に位置付けられている。
両空港の持ち株会社である新関西国際空港株式会社(NKIAC)は2月10日に急きょ記者会見し、同月16日に予定していた民間企業の1次入札を、5月22日に延期すると発表した。
昨年末に国内の総合商社や大手不動産など9社、海外の空港運営会社11社が入札参加資格の審査を通過したが、国内企業の間で「金額が高過ぎ、中途解除のルールが不明確」と不満が収まらず、不調になる恐れがあったからだ。