関西国際空港と大阪国際(伊丹)空港の民営化に向け、新関西国際空港会社(新関空会社)は7月25日、運営権を民間に売却するコンセッション事業の実施方針を打ち出した。

安倍政権「成長戦略」を占う<br />関空・伊丹運営権売却の成否完全民営化が決まった関西国際空港。着陸料の引き下げやテナントの集客力向上が期待される
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 2015年度からの45年間にわたる運営権の最低価格は、45年均等払いで、総額2兆2000億円(年間490億円)。運営権者側のEBITDA(利払い・税引き・償却前利益)は、年間686億円を見込む。

 今後は、10月にコンセッションへの入札を希望する企業連合の受け付けを開始し、詳細な募集要項を提示する。審査を経て、16年1月にも、勝ち残った企業連合が設立する特定目的会社(SPC)に、両空港の運営権を移す運びだ。

 国内最大規模となるこのコンセッション事業に、今、三菱地所や三井不動産といった大手不動産のほか、ゼネコン、総合商社、さらには国内外の金融機関などが強い関心を示している。

 入札を検討する、ある企業の幹部は「両空港は上海(中国)や仁川(韓国)のような、アジアのハブ空港になる可能性も秘める。(同じくコンセッションされる)仙台空港とは比較にならないほど魅力的」と色めく。

 だが、その一方で、新関空会社が抱える1兆2000億円もの負債完済ありきの“値付け”に、「収益力に鑑みて高過ぎる」(別の企業幹部)という声も根強い。

 さらなる懸念も指摘される。入札を検討する企業首脳は「45年にも及ぶ需要予測は不可能。官民のリスク分担の中身が見えないことが問題だ」と冷ややかだ。