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移転問題に揺れる築地市場の関係者らは3月21日、移転反対を訴えるパレードを新宿で行った。その名も『3.21 築地で、ええじゃないか!in新宿』だ。
主催したのは、日本消費者連盟などの団体でつくる「守ろう!築地市場パレード実行委員会」で、パレードは今回で6回目。冒頭に新宿東口のアルタ前で行われた街頭宣伝リレートークには、元日弁連会長の宇都宮けんじ氏らが登場し、問題山積の豊洲市場の建設工事凍結を強く訴えた。
最大の問題とされているのが、東京ガスのガス製造工場跡地である豊洲新市場の土壌汚染問題だ。リレートークにも登場した一級建築士で、移転に反対する水谷和子氏は「実際は汚染除去が済んでいない状態であり、東京都は汚染対策費を圧縮するためにデータをねつ造しているのでは?」と指摘した。
また、食品流通の専門家である広島大学名誉教授の三國英實氏は、「豊洲新市場は一般客の立ち入りが厳しく規制され、完全密閉型・大手流通資本向けに作られ、単なる『物流倉庫』に過ぎず、東京都の主張する”新たな賑わいの創出”とは程遠い」と実態を語った。
アンケートで明らかになった
東京都と仲卸業者との確執
パレードに先立って「守ろう!築地市場パレード実行委員会」と東京中央市場労働組合らが水産仲卸事業者を対象に行ったアンケート調査では、衝撃的な結果が明らかになった。
築地市場移転問題に際し、「あなたは築地と豊洲、どちらで営業を続けたいですか?」という質問をしたところ、「当然、築地」と回答した人が49%、「できれば築地」が37%となり、回答者の計86%が築地での営業を希望。すなわち、約9割が豊洲への移転に反対していることがわかった。
都は、築地市場の移転先として、豊洲(江東区)の新市場を2016年11月上旬に開場することを発表している。
豊洲の新市場予定地は、ガス製造工場跡地だったことから、土壌や地下水には、発がん性物質のベンゼンやシアン化合物などの残る汚染の実態が次々に明るみになり、報告が後手に回り続けた都の対応への不信感も重なって、食料品を扱う築地市場の移転問題をここまでこじらせた。
豊洲移転か築地再整備かを巡り、15年以上にわたって市場を大きく揺るがしながら、いまだに現場では、これだけ多くの業者たちの納得が十分得られておらず、都の新市場移行のプロセスの進め方に問題があったことを改めて浮き彫りにした格好だ。