「春」はいつ訪れるのか?
先送りされれば交渉が「漂流」

 大筋合意を目指すTPP閣僚会合の開催はいつ頃になるのだろうか。

 現時点では、5月中・下旬が有力視されている。甘利担当相は、4月26日から予定される安倍晋三首相の訪米を念頭に、「総理が訪米されるとしたら、その前に日米の閣僚案件は決着をしておきたい」(3月17日記者会見)との意向を示しており、4月末が日米合意の事実上の期限となっている。また、米議会でのTPA法案成立も早ければ同時期になる。この両者が実現すれば、TPP交渉は一気に加速し、5月上旬から中旬にかけて閣僚会合を開催する条件が整う可能性が高まる。

 ただし、5月23日・24日の両日には、APEC(アジア太平洋経済協力)の貿易担当大臣会合がフィリピンのボラカイ島で開催される予定である。同会合には、TPP交渉参加12ヵ国の閣僚が全員参加するのが通例であるため、この前後にTPP閣僚会合も合わせて開催するとの案が浮上している。この日程となれば、甘利担当相のいう「春」にぎりぎり間に合うことになる。

 しかし、ここに来て、さらなる後ズレの可能性も取り沙汰される。甘利担当相は3月17日の記者会見で、TPP閣僚会合の時期は「春いっぱい、若干の幅は持てるのかと思っています」と述べた。これは、閣僚会合の開催が6月にずれ込む可能性があることを示唆したものと受け止められている。

 これまでに何度も先送りされてきた大筋合意の期限であるが、今回先送りされた場合には、TPP交渉が「漂流」しかねない。

 2016年秋には米国で大統領・議会選挙が予定されているため、選挙戦が本格化して国内調整が難しくなる前、遅くとも2016年初頭にはTPP承認法案を米議会で成立させる必要があるといわれる。ここから国内手続等にかかる時間を考慮して逆算すると、「春」のうちに大筋合意に至らなければならない。

 これを逃すと、TPP交渉は米国で新政権が成立する2017年1月以降に仕切り直しとなる可能性が高まる。甘利担当相が「春のうち」の大筋合意への期待を再三示していた理由もここにある。

 今年の「春」は例年より長くなるかもしれないが、それでもTPP交渉の漂流回避に残された時間は、あまりない。