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【特集・クラウドと、どう向き合うか(4)】

製品名から「ウィンドウズ」を外してまで
競合他社と手を組むマイクロソフトの狙いとは

松岡 功 [ITジャーナリスト]
【第83回】 2015年4月9日
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5年前ならありえない
競合他社とのアライアンス

 複数の市場調査から見ると、グローバルなパブリッククラウドサービス市場は現在、主戦場となっているIaaS/PaaS市場では、アマゾン、マイクロソフト、グーグル、IBMといったところが激しいコストパフォーマンス競争を繰り広げている。また、今後大きな広がりが期待されるSaaS市場では、先行しているセールスフォース・ドットコムを追撃しようとオラクルやSAPなどが本腰を入れ始めている。

 こうした中で注目されるのは、上記に名を連ねる競合他社と、クラウドサービス連携によるアライアンスを幅広く進めているマイクロソフトの動きである。実際、同社はこれまでオラクル、SAP、セールスフォース・ドットコム、そして最近ではIBMとも手を組んでいる。

 なぜ、マイクロソフトは競合他社と幅広く手を組むのか。平野氏によると、それは昨年2月に米国本社のCEOに就任したサティア・ナデラ氏が打ち出した方針にあるようだ。

 その方針とは、クラウド事業について「クラウドファースト」を明確に掲げたことだ。これに基づいて、同4月にはIaaS/PaaSのAzureの冠名を「Windows」から「Microsoft」に変更し、Windowsにこだわらないクロスプラットフォーム戦略を打ち出した。実際、「今ではAzure上で利用されるプラットフォームの2割が、(Windowsと競合関係にある)Linuxをはじめとしたオープンソースソフトになっている」(平野氏)と言う。

 マイクロソフトがこうしたクロスプラットフォーム戦略に転換した背景には、多くのユーザー企業がクラウドサービスにおいても異なる利用環境を連携する仕組みを求めていることがある。平野氏は「クラウドサービスにおいても連携させてほしいというお客様のニーズがあれば、どことでも手を組む。それは当社と同様、企業向けビジネスを長年展開してきたベンダーならば、どこも同じ考え方だろう」と説明した。

 ただ、「もっとも5年前なら、こんなに相次いで競合他社とのアライアンスを行うことは考えられなかったかもしれないが…」とも。それだけクラウドサービスがユーザー企業に浸透してきたことを証明する動きともいえそうだ。

 平野氏は3月2日付けで日本マイクロソフトの執行役専務から代表執行役副社長に昇格した。そして、7月1日付けで代表執行役社長に就任する予定だ。自ら語ったチャレンジャーの姿勢をもって、クラウド事業、さらには同社の経営をいかに舵取りするか、注目しておきたい。

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松岡 功
[ITジャーナリスト]

まつおか・いさお ITジャーナリストとして複数のメディアにコラムや解説記事を執筆中。1957年生まれ、大阪府出身。電波新聞社、日刊工業新聞社、コンピュータ・ニュース社(現BCN)などで記者およびIT系月刊誌の編集長を歴任後、フリーに。主な著書は『サン・マイクロシステムズの戦略』(日刊工業新聞社、共著)、『新企業集団・NECグループ』(日本実業出版社)、『NTTドコモ リアルタイム・マネジメントへの挑戦』(日刊工業新聞社、共著)など。

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