
日本人の朝のはじまりに寄り添ってきた朝ドラこと連続テレビ小説。その歴史は1961年から64年間にも及びます。毎日、15分、泣いたり笑ったり憤ったり、ドラマの登場人物のエネルギーが朝ご飯のようになる。そんな朝ドラを毎週月曜から金曜までチェックし感想や情報をお届けします。朝ドラに関する著書を2冊上梓し、レビューを10年半続けてきた著者による「読んだらもっとドラマが見たくなる」連載です。本日は、第11回(2025年10月13日放送)の「ばけばけ」レビューです。(ライター 木俣 冬)
しあわせな新婚初日
第3週「ヨーコソ、マツノケへ。」(演出:泉並敬眞)のはじまりは新婚もよう。
トキ(高石あかり、「高」の表記は、正確には「はしごだか」)と銀二郎(寛一郎)が結婚した。
湖で仲睦まじく顔を洗うトキと銀二郎。
まずは朝日に向かってあいさつ。それから出雲大社に向かって4拍手あいさつと拝礼。
とっても神様を信じていた時代なのだと思わされる。
幸せそうなふたり。
トキはフミ(池脇千鶴)に教わって朝ごはんを作る。
しじみの洗い方はゴシゴシじゃなくてコロコロ。
やっぱり今日もしじみ汁。
食卓は、上座に司之介(岡部たかし)。その両脇にトキと勘右衛門(小日向文世)。
その隣がフミと銀二郎で、この家の力関係がわかる。銀二郎は婿なので、トキより下ということなのか。なんだか難しい。
それより、かなり貧しく狭い家を目の当たりにして銀二郎はどう思ったのだろう。没落武士同士、似たようなものってこともないのではないか。なにしろ松野家はウサギビジネスで多大な負債を負ったため、この島流し的な状況(川の向こうに流れてきた)なのだ。
そもそもそんな家によく婿入りしたなあと思うと、気になってならない。
妙にいばってあぐらをかいている司之介に「いただきます」と言うように促された銀二郎は立ち上がって、あいさつをした。「用意周到じゃな」と勘右衛門(小日向文世)。
「ようこそ松野家へ」
しじみ汁に「あー」と嘆息しかかる銀二郎。司之介が「あーと言うな、はしたない」とがめられ、これで松野家の洗礼を受けたという感じであろうか。
そしてタイトルバック。
繰り返すが、タイトルバックがトキとヘブン(トミー・バストウ)とのラブラブ2ショットなので、なんだか銀二郎が不憫(ふびん)になる。
「落ち込まないで〜諦めないで〜」と銀二郎に歌ってあげたい。