クラウドサービスの提供だけでなく
「インテグレーション」が強み
「富士通はクラウドサービスだけを提供しているのではない。お客様のニーズに応じてクラウドも合わせて最適なICTシステムを提供できるように、トータルなインテグレーションを行うことこそが当社の使命だ」
富士通の小田成執行役員サービス&システムビジネス推進本部長兼OPプロジェクト室副室長は、同社のクラウド事業の特徴についてこう語った。
小田氏が言う「クラウドサービス」とは、ハードウェアを中心としたICT資源をサービスとして利用する「IaaS(Infrastructure as a Service)」、ソフトウェアの開発・実行基盤である「PaaS(Platform as a Service)」、アプリケーションソフトウェアを利用する「SaaS(Software as a Service)」からなるパブリッククラウドサービスのことを指す。
小田氏の冒頭の発言は、この分野での競合他社を強く意識したものでもある。とくにグローバルなIaaS/PaaS市場では、アマゾン、マイクロソフト、グーグルの3社が激しいコストパフォーマンス競争を繰り広げているが、富士通は同じ土俵で戦いながらも顧客企業に対する役割として、これら競合他社と一線を画す。その異なる役割を一言で表したのが「インテグレーション」である。
そのインテグレーションも盛り込んだ形で、富士通が手掛けるクラウドサービスの全体像を示したのが図1である。同社は2009年からクラウド事業を始めたが、2013年5月に関連するサービスを「FUJITSU Cloud Initiative」として体系化した。見ての通り、フルスタックのクラウドサービスを取り揃えている。
小田氏によると、パブリッククラウドサービスの契約社数は900社を超え、SaaSの種類は約100種を数える。そしてクラウド事業全体の売上規模としては、2013年度で1870億円に達し、2014年度で2500億円の見込み。これを2016年度には3500億円まで引き上げたいとしている。