>>(上)より続く
設楽 最終的に会社は、男性を解雇にはしなかったのですが、社員たちには社内報や社内のイントラを通じ、この件を伝えたのです。「〇月〇日ごろ、男性社員が女性社員にこのような行動をとった。これは明らかにセクハラであり、許されないことである。今後、このようなことは厳に慎むように」といった内容でした。
我々ユニオンとしても、男性には厳しく指摘しました。そして、女性の前では二度と同じようなことを繰り返さないように、とも注意をしたのです。
筆者 女性が100%満足したとは思えないのですが……。私は、人事部などが社員たちに伝えようとしなかった理由も理解できなくもないのです。こういう問題を公にすると、社員たちの間に動揺が広がりますからね。
設楽 その「事なかれ主義」がよくない。それでは、同じ問題が繰り返されるのです。男性は、職場の女性に対し野心を持つことがあります。普通に話し合うことができない場合があるのです。世代に関係がなく、多くの男性が持つ「特殊な感情」と言えるでしょう。
「今日、一緒にお酒でも……」が
そんなにいけないのか?
筆者 それはあるかもしれませんね。むろん、今回のケースのようなものではないですが、私も会社員だった頃を振り返ると、身に覚えがあります。
設楽 男性の「その感情」が問題なんですよね。ある会社でこういう男性がいました。「夜、晩くまで大変だね。いい感じで頑張っているね。どう? 今日一緒にお酒でも……」と何度か、口にしたのです。女性が仕事をしていて返事もしないのに、こんなことを繰り返し言えば、問題になりますよ。
筆者 「今日、一緒にお酒でも……」が、いけないのですか。
設楽 その通り。こんな言葉を発したときは、その瞬間の反応で、女性の気持ちがわかっていないといけない。瞬時のうちに見分けるのが、真の男ですよ。それができない男性は、女性に声をかけてはダメ。この男性は、会話のリズムと呼吸がわかっていない。
ある有名私立大学医学部出身の医師の男性が、相談に来たのです。産婦人科に勤務していました。どうやら、解雇寸前になっているようでした。看護師や患者の女性を、食事などにしつこく誘ったようです。