会社のことを
完全に忘れる時間を大切にする
熾烈(しれつ)な社内政治に身を置くと、会社での出来事が頭を離れなくなります。
あなたを威圧する権力者、敵意をむき出しにする同僚、心ないゴシップを流す顔の見えない敵……。それらの残像が頭を離れず、いつまでもあなたの心をかき乱すでしょう。これが、心を消耗させます。
だから、必ず、週に最低1回は、「質の高い休養」をとるようにしてください。
「質の高い休養」とは、完全に会社のことを忘れ去るような時間をもつことです。好きなスポーツに没頭するのもいいでしょう。絵画、映画、小説などの芸術に没入するのもいいでしょう。あるいは、愛する家族と心休まるひとときを過ごすのもいいでしょう。そして、その時間を心から楽しむことです。
現実世界から「心を離す」と言ってもいいかもしれません。
この効果を侮ってはなりません。心の健康を保つ効果があるのはもちろん、好きなことに没頭したあとには、現実世界の争いごとが、遠く小さな出来事のように感じられるものです。
そんな、冷静な視点で、会社での出来事を俯瞰することで、思わぬ「打ち手」があることに気づくこともあります。四六時中、争い事に心を悩ませていると、どうしても視野狭窄に陥ってしまいます。それよりも、「質の高い休養」をとることによって、状況を俯瞰できる精神状態を維持するほうが、政治闘争を有利に進めることができるでしょう。
心の中に「ネガティブな感情」をため込まないことも重要です。
そのためには、ときには、信頼できる人物を相手に愚痴をもらし、鬱憤(うっぷん)を晴らすことも必要です。ただし、どんなに信頼できる人物であっても、社内の同僚を相手に本音をさらけ出すのは避けたほうがいいでしょう。
なぜなら、その相手もあなたと同じように社内政治を戦っているからです。万一、彼がなんらかの事情で政治的に追い詰められたときには、あなたから聞いた情報を第三者に漏らしてしまうかもしれません。そのとき、あなたは社内的に不利な立場に立たされるとともに、その人物との信頼関係を失ってしまうことにもなりかねません。
それは、あなたの心に深い傷を残すでしょう。そのような事態を招かないためには、社内の人物には本音を明かさないことに尽きます。それが、大切な同僚との関係を大事にすることに繋がるのです。
ですから、必ず会社とはまったく関係のない人物を相手に本音を明かすようにしてください。大学時代からの友人でもいいし、配偶者でもいい。そうした人物との信頼関係が、あなたの心を守る砦(とりで)となってくれるでしょう。