2014年12月期に13期連続の増収となった日用品大手ユニ・チャーム。今期売上高も前期比14%増の7600億円を見込む成長のけん引役は、まさしく新興国にある。(「週刊ダイヤモンド」編集部 宮原啓彰)
米投資銀行ゴールドマン・サックスが昨年末のレポートで、2016年にもGDP成長率で中国を抜く可能性があるとしたインド。同国の南部最大の工業団地、スリ・シティに早ければ来月、日本企業の新工場が完成する。日用品国内大手ユニ・チャームのインド第2工場だ。
ユニ・チャームといえば、日用品業界を代表するグローバル企業。14年12月期の売上高6662億円のうち、64%を海外が占める。
中でも注目されるのが、新興国の売上比率である。新興国売上高は非公表だが、本誌取材では14年12月期は3038億円。その売上比率は、45.6%と半分に迫る。
この比率は、日用品世界大手の蘭英ユニリーバや米コルゲート・パーモリーブに次ぐ、3番手。各社とも対象となる新興国の数に違いはあるが、新興国市場でもガリバーとして君臨する業界最大手の米プロクター・アンド・ギャンブル(P&G)の39%を凌ぐ。
11年3月期に30%弱だったユニ・チャームの新興国売上比率は、右肩上がりで伸び、13年3月期にP&Gと並んだ。そして14年3月期、一気に抜き去ったのである。
全世界で831億ドルを稼ぎ出すP&Gに、売上高の絶対額ではかなわない。それでも、ユニ・チャームが得意とする紙おむつなど吸収体のシェアに絞れば、世界3位、アジアではトップだ。
新興国売上比率でいえばもはや、ライバルはP&Gではなくなった。
「20年までに、新興国の売上比率でユニリーバを上回る60~70%まで伸ばす」とユニ・チャーム幹部はもくろみを明かす。